第63章 冨岡義勇の葛藤〜冨岡義勇
お前を遠ざければ、この胸の鼓動も収まると思っていた。
その可愛らしい笑顔も匂いも声も恋しく思わなくなると思っていた…
任務の間も、俺はただお前の無事だけを願い、募る情愛を剣士の誇りで塗り潰してきたはずだった。
だが、一ヶ月ぶりに見たその肌に、俺ではない時透の色が刻まれている。
それを目にした瞬間、積み上げた理性が音を立てて砕け散った。
やはり…お前の事をまだ忘れられていなかったんだ…
愛しいゆき…
冷たく接することで自分を、守っていた…
泣かすような態度を取って突き放そうとしていた…
自分から近づかないように努めていた…
お前を見ないようにしていた…