第62章 壊れるほど抱きたい〜時透無一郎【R強】
ー翌朝ー
乱れた寝具の中で、目覚めた無一郎はそっとゆきの頬を撫でた。
指先は昨夜の強引さが信じられないほど優しく、壊れ物を扱うような手つきだった…
「おはよう。まだ、身体痛む? ごめんね、夜は無理強いして…でも、不安で……」
「無一郎くん…」
そう言って、無一郎はゆきの額にそっと唇を落とした。
昨夜の「壊れるくらい鳴いて」という言葉とは裏腹な、甘く溶けるような声。
その時、静かな屋敷の縁側にパタパタと羽音が響いてきた。
「カァーッ! 伝令! 伝令!」
義勇の鴉が、鋭い声で告げる。
「冨岡義勇、任務完了! 先ほど蝶屋敷ニ到着! 体調検査ノ後、自身ノ屋敷へ帰還ス! 以上!」
「冨岡さん」の名前を聞いた瞬間、無一郎の指先がわずかに止まった。
ゆきを包んでいた温かな空気が、一瞬にして冷ややかに変わった…
無一郎はゆきの肩を抱き寄せ、耳元で小さく、けれど逃げられない響きで囁いた。
「帰ってくるんだ…。でも、行かせないよ。今の君の身体には、僕がつけた跡が消えずに残ってる。冨岡さんには君も見られたくないでしょ?」
無一郎はゆきの首筋に残る赤い痕跡を、なぞるように指で辿った。
「今日はこのまま、僕のそばにいて。体調が悪いって言えば、誰も文句は言わないよ。ねえ、いいよね?」
ゆきは、きりっと表情を変えて無一郎を見た
「『継子』として師範が任務を終えてきたなら出迎えないと」
ゆきは、慌てて隊服に着替えた。
無一郎はゆきの着替える姿をじっと見つめた。
「そっか。師範だもんね。君に稽古をつけて、君の成長を一番近くで見守ってくれた師範が任務終えて帰ってくるんだものね……」
無一郎の顔から表情が消えた。悲しそうな切ない表情…。
「わかった。そこまで言うなら行けばいいよ。」
「ありがとう…」
無一郎は冷めた瞳でゆきの襟元を整えた。
そして執拗に首筋の痕を指でなぞった…。
「行ってらっしゃい。でも忘れないで。その服の下が今どうなっているか、誰がそうしたのか。……早く帰ってきてね」
行かせたくないよ…だけど…冨岡さんももう決心してるはず…一ヶ月離れてゆきの事を諦めたはず…
ゆきは、義勇が戻って来た屋敷へと急いだ…。