第61章 任務からの帰還〜時透無一郎 不死川実弥
影から姿を現したのは、不死川だった。
不死川は苛立ちを隠そうともせず、乱暴に頭を掻きながら、義勇としのぶ、そして立ち尽くすゆきを交互に睨みつける。
「夜中にふらふら歩き回りやがって。富岡の言う通りだ、お前はさっさと寝床に戻れ」
不死川の声は荒っぽいが、そこには彼なりの「これ以上傷つく前に去れ」という不器用な警告が混じっているようにも聞こえた。
義勇は、不死川の登場にも眉ひとつ動かさない。
ただ、隣に座るしのぶの肩を冷気から守るかのように、わずかに身体を寄せた。
「不死川、あとは任せた。」
その言葉を背に、しのぶは困ったような、それでいてどこか勝ち誇ったような微笑を浮かべたまま、一度もこちらを振り返ることはなかった。
不死川が、ゆきの肩を抱き寄せる姿を義勇は、目にして胸が痛くなった…
何で…俺が嫉妬してるんだ…あいつに悲しい表情させたのに…あの二人の後ろ姿に嫉妬している…
俺は、勝手な男すぎる…
義勇は、立ち上がり食い入るように二人の後ろ姿を見つめている。
「おいゆき大丈夫か?フラフラしてるじよねェか?」
「だ、大丈夫です…ありがとう不死川さ…」
不死川は、ゆきを抱きあげた…
「えっ?大丈夫ですよ…不死川さん?」
「冨岡にやり返してやれ?」
「え?」
抱きかかえられて後ろが見えた。義勇さんは立ち上がりこっちをじっと見ていた…
「俺にしがみつけ!冨岡にみせつけてやれ」
涙がいっぱい出てきた…そんな事しても義勇さんは何にも思わないのに…そう思ったけど不死川さんの優しさにすがりたくて…首元に手を回して抱きついていた。
「えっ…うっ…うっ…」
「よしよし泣け…」
不死川さんは抱いて歩きながら優しい言葉をかけてくれた。
なんだ…何で不死川にあんなに甘えてるんだ…。
「何だかいい雰囲気ですね。冨岡さんあなたじゃなくて不死川さんと今度はゆきさん良い仲になるんじゃないですか?」
部屋まで戻ってきて不死川は、ゆきをベッドに降ろそうとしたが…首に抱きついて離れない。
「お、おい。ベッドに横になれ」
「うっ…うっ…」
「まだ泣いてるのかよ…仕方ねェな…」
不死川は、ベッドに腰掛けて膝のうえでゆきを抱いた。
「どうしたもんかなァ…」