第60章 消えゆく愛〜 冨岡義勇【R18強】
「早く帰るぞ。泣く前に歩け。」
義勇さんの言葉に、私はずっと傷ついている。冷たい声…冷たい口調…
前は、優しかったのに悲しい時困った時にいつも抱きしめてくれたのに。
まだ夜も明ける前だったので、義勇の屋敷に二人は戻って来た。
静まり返った屋敷の中二人は無言で、廊下を歩いた。
そしてゆきの部屋の前に来た
「あの…義勇さん」
「なんだ?」
ゆきは、胸元から何かを取り出した。
「これ…買って頂いた髪飾り…」
「ああ…」
「お返しします」
義勇は、少し考えてから髪飾りをゆきから奪い取って中庭の池に投げた。
「いらないから捨てた」
するとゆきは、寒空の中池に走っていって池の中に髪飾りを探しに入った。
義勇は、驚いた…
泣きながら冷たい水の中一生懸命ゆきは、髪飾りを探している。
もう…義勇は我慢できなくなった。
義勇は、水の中にいるゆきを後ろから抱きしめた。
「何している?風邪を引く早く出ろ」
「何で捨てちゃうの?なんで…」
義勇を無視してゆきは、髪飾りを探し続けた。
そんなゆきを、義勇は無理やり抱き上げて池から出して
ガタガタ震えている体を義勇は、きつく抱きしめた。
そしてあまり大事にはしたくなかったので抱き上げて自分の部屋に連れて行った。
義勇の胸のうちは、複雑だった。
わざと突き放したのに、先程目の前で見たゆきはボロボロになりながら、自分が捨てた髪飾りを必死に求めていた…。
自分の意図が伝わらず、むしろ深く傷つけてしまった罪悪感と、抑えきれない愛しさが、義勇の中で溢れ出そうになっていた。
「取り敢えず服を脱げ。俺の浴衣に着替えろ!」
優しくないつよい口調でゆきに言った。
ゆきは、寒さからガタガタと震えながら羽織を脱ぎそして隊服を脱ぎ始めた。
その間に義勇も濡れた隊服を脱ぎ浴衣に着替えた。
ゆきの方を見るとまだもたもたとして隊服を脱いでいなかった。よく見るとゆきは寒すぎて手が上手く動かずボタンをはずせなかったようだった。
仕方なく義勇が、ゆきの前に片膝を立てて座った。
「貸してみろ。」
ゆきの手を払いのけて義勇は、一つずつボタンを外し始めた。