第58章 悲しい年の瀬〜時透無一郎 冨岡義勇
次の朝ゆきが、目覚めると無一郎はもう隊服に着替えていた。
「おはよう。僕は今から任務に出るから明日戻ってくるよ。凛をむやみに屋敷をうろうろ出来ないように隠に見張ってもらっているから君は安心してね。」
凛の事より今夜は、無一郎くんが夜にいないと思ったらすごくホッとした。
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私は稽古のために、義勇さんの屋敷に向かった。
道場に入ると義勇さんが、すでに正座して座っていた。
「おはようございます…」
返事のない義勇さんの隣でゆきも座った。
沈黙が痛かった…
黙ったまま時間が過ぎる…三田さん達もう来るかな…
そんな事を考えていたら義勇さんが口を開いた。
「今日は、体調はいいのか?」
えっ?義勇さんが話しかけてくれた。そう思ったゆきは義勇の方を向いて座り直した。
「はい。昨日沢山寝たので元気です。だから今日夜の警備の任務行けます。」
「そうか…」
義勇は、立ち上がり竹刀を片手に持った。
「今日は、三田達は任務でいない鬼の目撃情報の聞き込みだ」
じゃあ今日のお稽古は、久しぶりに義勇さんと二人きりなんだ…
昔みたいに、二人だけで今日は稽古をつけてもらえた。
稽古中は前と変わらない接し方をしてもらえた。
そして稽古が終わった時に義勇に言われた。
「夜の巡回の警備は俺一人でいいからお前は帰れ」
「行きます!」
「駄目だ。時透がまっているだろ?」
「今日は、任務で帰って来ないって…」
義勇は、少し考えた…
「わかった。ではここで夕食を取ってそれから出発しよう」
「はい!」
警備に向かうために屋敷から出た時外は雪が吹雪いていて寒かった。
ゆきは、隊服に羽織りを着ておらずとても寒そうにしていた。
すると義勇が、羽織りを脱ぎゆきに着せてくれた。
「あの…義勇さん?」
何も言わずに義勇は歩き出した。
暖かい…義勇さんに包まれているみたいでドキドキする。
一通り街を周り異常はなかった。義勇は、無一郎の屋敷の前をわざと通った。
「このままお前は帰れ」
「でもまだ警備の途中です」
「後は屋敷に戻るまでの場所は俺だけでじゅうぶんだ」
ゆきは、渋々義勇に着せてもらった羽織りを返して義勇を見送った。
お前が着ていた羽織いつもの甘い香りがする