第58章 悲しい年の瀬〜時透無一郎 冨岡義勇
体が冷えていると言うことですぐにお風呂に入る事になった。
もちろん無一郎くんも一緒に…
「もっと側においでよ」
ニコニコして手を広げてくる無一郎くん
「は、恥ずかしいからここでいいよ」
「昨夜あんな事したのにお風呂が恥ずかしいの?」
「あ、明るいし…何だか落ち着かないから」
ゆきは、湯船の端に無一郎に背を向けて入っている。
無一郎は、少し切ない表情でゆきを見つめていた。
‐‐‐‐
お風呂から部屋に戻る廊下の途中…無一郎は、ゆきの手を取り繋いだ。
びっくりしてゆきは、無一郎を見た。
「僕も繋いでみたかったからさ」
「えっ?」
「冨岡さんと繋いでたから羨ましかった」
あっ…あの日の夜の事だ…
確かに義勇さんと手を繋いで丘を登ったな…
‐‐‐
「この丘を登ったら街が見渡せるんですよ。夜に来てみたかったんです。」
義勇さんを見ると、いつもみたいなスッとした表情で一言
「そうか」
と言って私の歩幅に合わせて歩いてくれていた。街で歩くのが早いと気付いてからずっと私に合わしてゆっくり歩いてくれている。
距離が近いからさっきから、何度もお互いの手が触れる…。
ちらっと義勇さんの顔を見てみた…
すると、少し顔が赤くなりながら私の手を握ってきた。
すごくドキドキ心臓が動くのがわかった。
義勇さんは、ぎゅっと手を握ったまま離さなかった。
「ゆき!?ゆき!」
はっとして声のする方を見た。無一郎が、寂しそうな表情で呼んでいた。
「ん?な、なに?」
「思い出していたの?冨岡さんの事…」
「ううん。違うよ違う!まったく」
焦る君を見たらわかるよ…冨岡さんとの事思い出してたって
いつから君は、冨岡さんに気持ちが向いていったの?
僕は、ずっと変わらずに君が好きだよ…
好きで仕方ないよ…だけど君の想いが気持ちが離れていっているのが分かるんだ…
無理だよ…君なしなんて
不安だから今夜も君が欲しい…だけど君は嫌だよね
わかってるんだ…そんなの
だけど抱かないと繋がらないともっと離れていきそうで不安なんだ
「ゆき…今日もいいよね?」
無一郎くんが、耳元で私を夜の行為に誘う…。
「…。」
「今日は、何回もしないから」
「わかった…」