第57章 波乱のクリスマス〜時透無一郎【R18強】 冨岡義勇
丘を仲良さそうに手を繋いで歩いている冨岡さんを見た。
冨岡さんに、誰かいい仲の女性が居るとは考えられなかった。
だってあの人は、君しか見えてないから…
そこで、思い出した…
そうだ、あの髪飾り…君の部屋で見たやつだって…
僕は、気が付いた時には後をつけていた。
ずっと手を繋いでるんだ…恋人みたいに…
丘の上から見た街の灯りは綺麗だった…涙が出るくらい
はしゃぐ君をあの人は愛おしそうに眺めていた。
そして…あの人は後ろから君を抱きしめてくちづけをしようとした…
君はそれに応えるかのように、ゆっくりと目を閉じていって唇を重ねた。
まるで、恋人同士みたいに…
僕には、師範と継子には見えなかった。
無一郎くんの目から沢山の涙が出てきて、組み敷いている私の顔に落ちてきた。
「本当の僕は、泣き虫で何もできない甘ったれなんだ…」
「む、無一郎くん…」
「兄の記憶や父さん母さんの記憶も思い出し辛い時もあったけど君に出会って毎日が楽しく感じた。鬼を根絶やしにする事は一番だけど、君が居ることで心が少し軽くなった。人を愛するって事も知った…」
無一郎くんは、小さな子供みたいに涙を流しながら話してくれている…
「君と出会って大人になったって勘違いしていた」
「無一郎くん…」
「僕は、まだ子供だ…冨岡さんみたいに君を包めないんだね」
無一郎くんの過去は詳しく聞いてなかった…お兄さんがいて、鬼に殺されたしか聞いておらずどんな暮らしをしていたのか私は何も知らなかった。
ただ目の前で、本当に子供みたいに泣く少年を私が傷つけてしまったのは事実なんだ…。
「な、泣かないで…無一郎くん」
無一郎くんを、私は抱きしめた。昔みたいに…まだ私が無一郎くんの継子の時にしていたように
彼を胸の上に抱いて背中をトントンと叩いてあげた。
泣いていた無一郎くんは、段々と落ち着きを取り戻していった。
私は、胸が痛んだ…どうしていいのかわからなかった。
いつしか義勇さんに向き始めたこの気持ち…だけどこんなに私のことを全力で愛してくれて
泣いてくれる無一郎くん…が目の前にいる…
どうしたらいいの
無一郎くんを拒むなんて出来ないよ…
無一郎くんも、可愛くて愛おしく感じる…
私は優柔不断で、ずるい女だ…
だから言われたのかな?百合さんに誰とも結ばれないと…
