第54章 十二月の朝〜時透無一郎 冨岡義勇【微R18】
「ゆき!!起きて!」
目を開いたゆきは、トロンとした目で無一郎を見た。
「僕は誰?」
「ん…?無一郎くん」
「お酒飲み過ぎだよ。さっき寝ぼけてたし…」
ゆきが、僕に抱きついてきた。
「ごめんなさい…沢山お酒飲んで…」
無一郎は、ゆきを抱きしめた。
「冨岡さんの事、義勇って呼んでるの?」
「ん…?」
まだ酔いは醒めていないようだった。
「わかった…もういいよ…普通の時に問いただすから。」
朝方に、頭が痛くてゆきは目を覚ました。
「いった…」
頭を押さえながら起き上がった。隣を見ると無一郎が眠っていた。
「えっ?無一郎くん?なんで?」
無一郎は、寝返りをうった。
「うーん…」
ゆっくり目を開いた…
「ん〜…起きたの?」
「あ、あの私は何にも覚えてなくて…皆と食事してて…不死川さんにお酒勧められて…そこで記憶がないの」
無一郎は、ため息をついた…。
「だめ!君はお酒禁止!危なすぎる…僕が居なかったら確実に冨岡さんに、抱かれてる」
「えっ?どういう事…何で義勇さんに?」
無一郎は、じーっとゆきを見た。
「義勇じゃないんだ…」
「えっ?どういう事?」
無一郎は、背伸びをしてから起き上がった。
「君ずっと冨岡さんの事を義勇って呼んでたよ」
「ええー!?」
前に…義勇さんにいわれた事ある…足を挫いてしまいしのぶさんに貰った薬を飲んで眠ってしまった時に呼び捨てしていたって。
今度は、酔って呼んでたんだ…。
無一郎に、腕を引かれて抱き寄せられた。
「冨岡さんと君は…やっぱり師範と継子の域を超えているね」
鼓動が、速くなるのがわかった…。私は、無一郎くんと凛の事をとやかく言えない。
屋敷に今も凛を置いていることを嫉妬してるけど…。
自分はどうなの?私は義勇さんと何をした…?
無一郎が、ゆきの頭を撫でた。
「ごめんね…きつく言い過ぎたね…まだ朝早いしもう少し寝よう…」
「無一郎くん」
「久しぶりに、君を抱きしめて眠れる。安心する」
ゆきは、無一郎の腕の中で複雑な気持ちだった。
「僕の事を独りぼっちにしないでね…最近よく昔の夢を見るんだ…一人になるのが怖くなる。僕には君しかいないから…ゆき…」
「無一郎くん」