第77章 私は誰が好き?〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥 【R強】
その頃、屋敷に到着した義勇は、ゆきの姿が見当たらないことに気付いた。
「ゆきはどこだ」
問い詰める義勇に、美月は余裕の笑みで答える。
「奥で食事の支度をしています。座ってお待ちください」
その場の空気に流されるように食事が始まる。無一郎もまた、彼女は奥にいるのだと思い込んでいた。
義勇の隣に陣取ったしのぶは、余裕な表情で、酒を勧める。
「冨岡さん、そんなに怖い顔をしないで。…先日の続き、いつしましょうか?」
あの日、薬で意識を混濁させ、もう少しで肌を重ねるところだった義勇。意識が朦朧としていたが、あの夜を体は覚えていた…。
そんな中で、ただ一人不死川だけがゆきが居ないことに、違和感を抱いていた。
彼は美月の目を盗み、席を立って奥へと向かう。
静まり返った廊下の先、食糧庫の扉の前に立った瞬間、物音と微かな泣き声に気付いた。
「…おい、そこに居るのかァ!」
怒号と共に、凄まじい力が錠前を叩き壊す。
扉が開き、溢れ出した光の中に不死川が姿を現した。
不死川の目の前には、泣き腫らしたゆきがいた…
「不死川、さん…?」
震える声に応えるように、彼は迷わず駆け寄り、崩れ落ちるゆきをその太い腕で力強く抱き上げた。
その抱擁は驚くほど優しく、そして狂おしいほどの熱を帯びていた…。
「すまねェ。遅くなった」
耳元で響く、声…。忌まわしい山賊の過去が、彼の確かな体温によって塗りつぶされていく。
「もう大丈夫だ。俺が来た…。誰にも、指一本触れさせやしねェ。怖くねェよ…」
不死川はゆきの震える背を、大きな手で包み込むように撫でた。
ゆきを閉じ込めた者への煮え繰り返る怒りが爆発しそうだった。
「ゆき…時透の継子の仕業だろ?ただじゃおかねェ…」
不死川は、ゆきを抱いたまま宴の席に向かって歩いた。
ゆきは、腕の中でずっと震えて泣いていたが不死川に、訴えた
「不死川さんお願い大ごとにしないでください。」
「て、お前…あいつだろォ?お前を閉じ込めた犯人は」
「…美月さんに弱いとこ見せたくないんです!」
不死川は納得いかなかったがゆきの気持を尊重してあげ、宴の席に二人で向かった…