第54章 十二月の朝〜時透無一郎 冨岡義勇【微R18】
話し声を聞いてゆきもその場に来ていた。
「柱に嘘ついたんで、注意しているだけですよ」
無一郎が、なおも力を込めて三田の腕をねじり上げた。
三田は痛みで気を失いそうになっているのがわかった。
「無一郎くん、三田さんの骨が折れちゃうやめて」
ゆきが、無一郎の腕を掴んで涙ぐみながら三田を庇った。
無一郎は、三田の腕を強引に払い除けて離した。その勢いでゆきと三田はその場に倒れた。
「時透手荒な事はやめろ」
義勇が、倒れたゆきに駆け寄った。
「帰るねゆき」
無一郎は、そう言い残して帰って行った…。
‐‐‐‐
その日から数日して柱達の食事会が開かれる日になった。
伊黒さんと悲鳴嶼さんは任務で集まりには来ていなかった。
「ゆきちゃん久しぶり!ゆきちゃんは冨岡さんの継子だからこちらの会に参加するのね。」
甘露寺さんがニコニコと話しかけてくれた。
「ゆき俺の隣に座れ」
義勇に呼ばれてゆきは、隣の席に座った。
その時に、無一郎も部屋に入って来た 甘露寺は無一郎の手を引きゆきの隣の席に座らせた。
「無一郎くんはゆきちゃんのお隣ね。」
「甘露寺は、世話焼きが好きだな」
不死川が、あきれた表情で甘露寺に言い放った。
「そこが甘露寺さんの良いところじゃないですか」
しのぶが席につきながら助け舟を出した。
ここは、藤の家日々の鬼との戦闘の労いに沢山の料理やお酒が用意されていた。
「ゆきも飲め!」
不死川が、お酒をゆきに勧めてきた。
でもすぐに不死川は気付いてお酒を引っ込めた。
「すまない確かお前まだ十九だったな」
「いや、この前二十歳になった…」
義勇がいきなり口を開いたのでみんなが驚いた。
でも一番驚いたのはゆきだった。
「お前が飲みたいなら飲んでみろ」
義勇は、そう言って不死川が用意したお酒を目の前に置いた。
「あの…何で私の誕生日を知っているのですか?」
義勇は、お酒をぐっと飲み終えた後口を開いた
「何でも知っている。十二月五日だろ」
無一郎は、二人の会話を横で面白くなさそうに聞いていた。
生まれた日なんか僕は知らなかった…ゆきはずっと冨岡さんの方ばかり見てる