第53章 十二月の夜〜冨岡義勇【微R】
ゆきは、義勇の腕の中から逃れようとした。
だが、義勇に強く抱き寄せられた。
「あの夜の事は時透には秘密にする…だけど俺は忘れられない…ずっと思い出す…」
ゆきの顔がどんどん赤くなっていくのがわかった。
「あ、あの本当にあの時は自暴自棄で…ずるいけど義勇さんに甘えちゃって…その…私の体が欲しいならあげてもいいって思っちゃって…」
義勇は、抱きしめたゆきの背中をトントン叩いた。
「わかった…困らせて悪かった」
ゆきは、義勇が諦めてくれたと思いほっとした。
「時透に会いに行きにくいし会いにも来てくれないから淋しいだろう?」
「…はい。だけど自業自得だなとも思ってます。」
義勇は、ため息をついた。
「だから俺にすればいいのに…」
義勇の手がゆきの頬に触れる
「毎日ここで一緒に稽古して、任務にも行って毎晩抱いてやれるのに…」
ゆきは、戸惑った…
な、何言ってるの義勇さん…もう愛を沢山与えないでよ…
私の心が揺らいでしまう…
甘やかさないで…何でそんなに私を好いてくれるの?
「ぎ、義勇さんそろそろ夕食ですよ。こんな所誰かに見られたら大変です。」
部屋を出ようとするゆきの腕を掴み後ろから抱き寄せた。
「義勇さん!?」
「誰かに見せたい。そして時透まで噂で回って欲しい」
首筋に義勇は、唇を落としてきた…。
「あっ…やめっ…」
廊下では、夕食前で隠達が歩く音がする。
口元を手で覆われた。
「静かにしないとふすまを開けられるぞ」
隊服の上から胸をなぞってくる…ダメ…声が漏れる
「うっ…」
ゆきが、潤んだ目で辞めてと俺に訴えて来る。
「悪かった」
義勇は、ゆきを解放して部屋を出て行った。
ゆきは、その場に座り込んだ。
ドキドキする…何…この感情は?わからない…
私は無一郎くんが好きなの…好きなの…
私が恋しくて愛おしいのは無一郎くんなの…