第53章 十二月の夜〜冨岡義勇【微R】
夕食を食べる居間では気まずい時間が、流れていた…。
無言で、ご飯を食べる義勇がゆきは怖かった…。
「あ…の休息日とはいえ隊服を脱いで洋服を着てしまい申し訳ありませんでした。」
義勇は、ちらっと顔を見たがすぐ無言でご飯を食べ続けた。
ゆきも黙って食べた。
「最近あの隊士と仲が良いな?」
義勇が話しかけてくれた…。ゆきは、それが嬉しくて必死に話した。
「三田さんですよね?何でも話せるし気兼ねしないし一緒に居て楽しいし素の自分を出せるんです。」
目をキラキラさせて、三田の事を話すゆきに俺はヤキモチを妬いてしまった…。
「時透じゃなく三田が良いみたいだな」
ゆきが、驚いた表情をして箸を置いた。
「そ、そんなんじゃないです!」
「お前は、恋多き女だから次は三田か…」
そんな酷いことを言うつもりは無かった…だが口が勝手に動いた
口下手な俺なのに…
「義勇さ…ん…」
ゆきを見ると目にいっぱい涙を溜めていた。握った手は震えていた。
「や、やっぱり私義勇さんに、あんな事したから純粋な女にはもう思えないですよね…」
ゆきは、自身の部屋に戻って行った。
お前を、傷つけるつもりは無かったのに…部屋に戻ったが大丈夫だろうか?
泣いてないか…?
酷いことを言ってしまった…。
ゆき…ゆき……
義勇は、立ち上がりゆきの部屋に行く事にした。
縁側で、ゆきは空を見ていた。やはり泣いていた。
抱き締めたいと思い歩み始めたその時。
「ゆき!?どうした?」
「三田さん…」
「え?泣いてる?洋服の事柱に叱られたのか?」
「違うの…何でもないよ。」
「だけどさっきまで、柱と一緒だったんだろ?」
「何でもないってば」
「…わかった何かあったら言えよ」
三田はゆきの頭を撫でて涙を拭った。
「早く風呂入れお前が入らないと俺らは、入れないんだぞ!」
「ごめん。すぐ入るね。」
二人の会話を聞いて義勇はもっと胸がざわついた…。
翌日
稽古中…義勇は二人の事が気になり仕方なかった。
いつも手合せには、自分は参加しないのに今日は義勇が入って来た。
「三田来い」
三田が指名され手合せが始まった…。