第51章 愛おしい四日間〜冨岡義勇【R強強】
「じゃあ行くね…」
ふすまに映る無一郎の影が動こうとした。
「えっ?もう行っちゃうの?」
ゆきが、不安そうな声で無一郎を引き止めた。
「今から任務なんだ…それに今回は二、三日戻れない」
「じゃあ明日は会えないの?」
「うん…ごめん。だから冨岡さんにゆきに手を出すなって釘を差しに来たんだ」
「無一郎くん」
「ほんとに、そろそろ行かないと…ゆき今度はふすま越しじゃなく会えるね。」
「うん…早く無一郎くんの顔を見て会いたいよ…」
俺は目の前で何を見せられて聞かせられているんだ…。
この四日間お前を独り占めに出来るから嫉妬しなくてすむと思っていたのに【今】嫉妬させられた。
「ゆきまたね。大好き」
「私も無一郎くんが大好きだよ…気を付けてね。怪我しないでね…」
無一郎の足跡が小さくなっていった…。ふすまの前でずっと無一郎の居た場所を見ているゆき…。
俺は、腹が立った…そしてまた嫉妬している。
ゆきの背後からふすまを開けた。そして置かれていた薬と紙飛行機を手に取った。
ゆきが、振り返って義勇をみた。
「なんだ?」
「あ、あの…無一郎くんに言われた通り…私に…その…何もしないでください…」
義勇は、薬の瓶を開け飲み干した。
「…我慢できたらな…」
義勇が、ゆきにも薬を手渡した
「お前も飲め」
部屋は、静まりかえっていた。
ゆきは、警戒してか部屋の隅で時透が折った紙飛行機を触っていた。
俺からすごく距離を取っている。
そんな時ふすまの向こうから、声がした。
「柱、夕飯を持ってきました。」
隊士のゆずの声だった。
「ふすまの前に置いといてくれ」
「元気そうな声ですね!お風呂も夜中皆が寝た間に入れるようにご用意していますので、お大事になさってください」
そう言い残し夕飯を置いて行ってしまった。
義勇が夕飯の御膳を部屋の中に入れた。
「食べないのか?」
「た、食べますよ!」
ゆきは、部屋の隅っこに御膳を持っていき食べ始めた。
「こっちで食べないのか?」
「ここで食べます」
「食事中に襲わない」
「こっちに来い」
ゆきは、箸を置いた。
「最近ずっと無視してたのに次はすごく私に構ってくる」