第50章 嫉妬の果て〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
ゆきが、目の前で見たことないくらいあたふたしている。
俺に風邪を移した事を、とても気にしている。
「義勇さん動けますか?しんどければ私の部屋ですがここで今日は休みますか?」
正直そんなにしんどくないが、いいかな…?
ゆきに甘えてみても…。
「動けないからここで休みたい」
ゆきは、慌てて自分が寝ていた布団を綺麗に整えた。
「ここに、どうぞ!」
ゆきは、病み上がりとは思えないほど元気に振る舞っているが、まだ体調は良さそうではなかった。
「あっ!そうだ浴衣に着替えますか?」
「ああ」
「義勇さんのお部屋から取ってきますね」
部屋を飛び出そうとしたゆきは、腕を掴まれ寝ている義勇の胸の中に抱きかかえられた。
「えっ!?」
「隊服に着替えてから部屋をでろ…そんな半分裸のような格好で出るな」
義勇の手がお腹に回されている…ふと自分の胸元を見た浴衣からほぼ胸が見えていた…。
「き、着替えるんで手離して下さい」
義勇は、寝転んで後ろからゆきを抱くような体勢だった。
「もう少しこのまま」
今日は、義勇さんが私を無視しない…。久しぶりにきちんと話を受け答え出来て嬉しかった。
「す、少しだけですよ…」
義勇は、きつくゆきを抱きしめ自身もゆきに身を寄せた。
義勇さんの唇がうなじに当る…。吐息が熱があるせいか熱い…。
体が、ぞくってするよ…。
「も、もういいですか?」
義勇が、腕の力を緩めてくれたので抜け出した。
少し赤くなって髪を整えながら起き上がるお前が、艶やかで可愛くて堪らなかった。
ちょっと熱が、上がってきたみたいで俺もどんどん朦朧としてきた…。
ふと気がつくと辺りは、暗くなっていた。どうやら寝てしまったようだった。
部屋の中にゆきの姿は、なかった。
枕元には、薬の瓶があった。
ふすまがそっと開いた。桶と手ぬぐいを持ったゆきが立っていた。
「あっ!義勇さん起きたんですね」
ゆきは、俺の近くに座り冷たい手ぬぐいを額に当ててくれた。
俺の首元や頬に手を当てて熱も確認してくれた。
「実はここに、しのぶさんに来て頂いたんです。やはり私の病が感染ったようで四日間他の人と私達は、接触するなと言われました。」