第49章 無視〜冨岡義勇 時透無一郎
翌日の道場…
隊士達は、すでに道場に集まっていたが遅れてゆきが来た。
足が痛かったが痛み止めを飲んで誤魔化していた。
手合せの時間になり名前を呼ばれた順で手合せしていくのだが、いつまでたってもゆきは、呼ばれず…
結局今日の稽古でゆきは、なにもしなかった。
昨日義勇の部屋に来た隊士が、絡んできた。
「あなた色々と噂の継子よね?霞柱にもちょっかい出してるらしいわね。それで水柱に嫌われてるの?完全無視よね?あなたの事」
ゆきは、言い返せなかった…。本当に義勇に無視されているから…。
「ゆず〜行くよ〜ご飯!」
遠くからもう一人の隊士が呼んでいた。
この人『ゆず』って名前なんだ…。
「痛っ…」ゆきは捻った足首を抑えた…。
どうやら鎮静剤が切れてきたようだった。
夕飯の時間が来た。
また義勇は、ゆきに口を開く事なく黙々と食事をしていた。
ゆきは、足首が思いのほか痛すぎて食欲がなかった。
暫くしてまたあの隊士がやって来た。
「柱?いいですか?お稽古の質問に来ました」
ゆきは、義勇に 「すぐ部屋を出ますね」と言って立とうとしたが足首の痛みで、立てなかった。
「入りますね」
隊士が、入ろうとした時だった。
「取込み中だ勝手に入るな」
義勇は、隊士を中に入らないようにしてからゆきに近づいてきた。
足首を、触って捻った箇所を確かめた。
「やはりだいぶ腫れているな…今日は時透の屋敷に行くな」
やっと師範が、口を利いてくれた…
なんだかほっとした。
もしかして今日手合せで、名前を呼んでくれなかったのは足の怪我を悪化させないためだったのかな?
ちらっと義勇の顔を見た。合わなかった目が一瞬合った。
急に義勇は、ゆきを抱き上げた。
「え?え?どこ行くんですか?」
義勇は、質問に答えず黙って居間から出た。
先程の隊士が、見ているのも構わずに自分の部屋の方へ歩いて行った。
部屋に着くと丁寧に畳に座らされた。
するといきなりゆきの隊服のベルトを外し始めた。
「えっ?えっ?待ってください…」
あっと言う間にズボンを脱がされたが、どうやら義勇は足首に湿布や包帯を巻きたかったらしい。
黙って顔も見ず手当てしてくれた