第49章 無視〜冨岡義勇 時透無一郎
今日は、無一郎くんの所に行けないな…
足を挫いた時は、大丈夫と思っていたのに段々ひどくなってきてる。
お風呂からあがり足を庇いながらよたよたと廊下を歩いていた。
誰かが後ろから腕を掴んで支えてくれた。
「あ、ありがとうございます…」
振り返ると、あの隠が支えてくれていた。
「ゆき様怖がらないでください!危ないから支えさせてください。」
駄目だ…距離が近い…体か震える…
「大丈夫ですか?体震えてますよ?」
「あ、あの一人で歩けるから大丈夫です…」
やっぱり…無理だ…怖いよ…いい人だけど距離が近すぎて…
「ふらふらしてるんで抱き上げますね」
ゆきが、隠に抱き上げられそうになった時…
「何度言えばわかる?接触しすぎだ!」
ゆきと隠の間に、義勇が割って入った。
「ゆき様が足を挫いていたので助けただけです。やましい気持ちはありません」
「わかった…後は俺が連れて行くから」
義勇は、黙ってゆきを抱きながら廊下を歩いた。
「ありがとうございます…」
私に見向きもせず黙って廊下を歩く。
部屋に入って、私を座らせた後にお布団も敷いてくれた。
ずっと黙ったまま…
「あの…義勇さん」
「……」
「なんでずっと無視するんですか?」
「…」
段々無視をしてくる義勇にゆきはイライラしてきた。
部屋から出ようとする義勇の羽織を思いっきり掴んで引っ張った。
「きゃっ!!」
目を開けると義勇が、ゆきを組み敷いている体勢になっていた。
「急に引っ張るとは何事だ!?怪我はないか?」
「やっと口を利いてくれた。」
目の前にゆきがいる…手を伸ばせば触れれる
顔を近づければ口付けできる
昨日は、ゆきが帰って来なくて朝まで眠れなかった。
時透と朝まで何をしていたんだ…
想像すると腹が立つ…。
だから今日はお前と話す気になれなかった。
そんな目で見つめてくるな…期待だけさせないでくれ
その目も、唇も、身体も全部…時透のものだろう?
「義勇さん何で無視するんですか?外泊したからですか?」
「早く寝ろ…」
それだけ言って
義勇は、立ち上がり部屋を出て行った。
やっぱり義勇さん変だ…怒ってる…。いつもと違う…。