第49章 無視〜冨岡義勇 時透無一郎
食事は、隊士達とは別に取ることになっていた。
柱と継子は一緒だった。
居間は、しーんと静まり返っていた。
向かいに座って食事をしているが義勇とは、目が合わなかった。
「あの…師範?」
「…」
返事がない
無言で義勇は、黙々と食事をしている。
「昨日…外泊して…すみませんでした。」
「…」
何も言ってくれない…
「あ、あと朝おはようございます言えてないです…」
「…」
私のことが、見えていないかのように黙々とご飯を食べてる…
「師範…?」
「…」
「師範」
「…」
「義勇さん…」
少し眉が動いただけで、ずっと無視をされたままだった。
ふすまから声がしてきた。
「柱?お夕飯すみましたか?少し稽古の事で聞きたい事があって」
女性の隊士の声だった。
「まだ終わってない」
義勇は、明らかに食べ終わっているのにそう答えた。
自分のご飯は手つかずだった…
私がまだ食べ終えてないからそう答えたんだとすぐに思った。
「あっ!ご、ご馳走様でした。私行きますね」
ゆきは、御膳を抱えて部屋を出て行った。ゆきと、入れ替わるように隊士が入ってきた。
その時、明らかにその隊士に足を引っ掛けられゆきは、見事にその場に倒れた。
御膳はひっくり返り、ゆきはびしょびしょになった。
「えー!?大丈夫ですか?」
女性の隊士がわざとらしく心配している。
足を捻ってすごく痛かったけど我慢して立ち上がった。
義勇さんは、こっちを見ていたけど言葉は無い…。
散らばったご飯やらおかずを、拾い集めている間その女性の隊士は、義勇さんと楽しく話している…。
全然お稽古についての質問ではない。
「好きな食べ物とかありますか?今度作りたいです」
ふざけた会話が、ずっと聞こえてる…。私は畳を綺麗にして部屋を出た。
「いたっ//」
さっき倒れた時に捻った足首がすごく痛む…。
足を庇いながら御膳を持って台所へ向かうと
あの隠が、夕飯を浴びて、びしゃびしゃになっているゆきを見て慌てて来た。
「ゆき様?大丈夫ですか?片付けとくのでお風呂入ってください!」
「ありがとうございます」
こんなに、優しい人なのにいつも怖がってしまって申し訳ないとゆきは思った。