第47章 師範と継子〜冨岡義勇
「無一郎くんだと思い込んで、私からもあの隠の方に色々としたんです…だから私が一方的にあの方を怖いとか言うのもお門違いなんですが…」
義勇の顔を涙を流しながら真剣に見て話してくれている。
「汚いんです…私…軽蔑しますよね…」
違う…違うんだゆき…お前を抱いたのは俺だ…。
「こんな駄目な継子でごめんなさい…」
義勇は、ゆきを抱きしめていた。
「違う…」
「く、苦しい…師範?」
「違うんだ」
「師範苦しい…息ができない…」
「あの夜お前を抱いたのは、俺だ…」
ゆきは、頭が真っ白になった…
義勇は、ゆきの両肩を抱きゆきの顔を見た。
「俺がお前を抱いたんだ」
「えっ…?あの隠の人は…?」
「あいつはお前を部屋に運んでからすぐに俺を呼んだ」
「私はあの人とは…」
「何もない。あの夜は俺が一晩中お前と一緒にいた」
俺を、嫌いになったか?軽蔑したか?二度と顔も見たくなくなったか?
もう終わりだ……。
「義勇さんで…よかった…あの人とじゃなかった…」
目の前で、ゆきは泣き崩れた子供のように泣きじゃくっている。肩を震わせ泣いていた…。まるで緊張の糸が切れたかのように…。
俺で良かった…
お前は、そう言ってくれた。
「黙っていて悪かった」
ゆきは、泣きじゃくって返事はなかった。
「ただ、お前の体に残っている感覚や感触は全部俺がお前に刻んだものだ…俺はお前を愛している…お前は、俺が時透に見えたかもしれないが、抱いたのは俺だ…。」
ゆきは、義勇の顔を見た
「いつもお前を抱く時心で言っている言葉がある…それは」
義勇は、ゆきを抱き寄せた
「俺を好きになれ」
ゆきは、胸が痛くなった…義勇の気持ちが伝わってきて…。
「体が欲しいだけで抱いているんじゃない。好きだから愛おしいから抱いている。繋がりたい離したくない俺だけのものになって欲しい…抱いても抱いても足りない…」
ゆきの涙もすっかり止まっていた。
「師範と継子の関係だけだとわかっている…だが近くに居ると抱きたくなる愛おしくなる好きが止まらない」
ゆきは、どう答えていいのか困った…。
言葉が出なかった…。