第47章 師範と継子〜冨岡義勇
義勇が、隠の体をゆきから引き離した。
「俺の大切な継子に、むやみに接触するなと何度言えばわかる?」
義勇さん…よかった…怖かった…怖い怖いよ…
「ゆき様が心配で…」
「わかったからもう出ていけ…」
「…はい…」
隠が、部屋から出たと同時に背中にゆきが抱きついてきた。
「怖かった…」
義勇は、慌ててゆきの方を見た。
「悪かった任務で今帰って来た所だった。」
体がすごく震えていた…
「ゆき大丈夫か?震えているぞ」
「さ、最近男の人に触れられたり近くに来られると震えちゃうんです…でももう止まりそうです」
ゆきが、言ったようにすぐに震えは止まった。
「止まったな」
ゆきは、安心したのか力なく俺の胸の中に倒れてきた。
「す、すいません…目眩がひどくて…少しだけこのままで居てもらってもいいですか…すいません…」
目を閉じて俺の胸の中に居るゆきにすごく鼓動が、高鳴った。
俺も男だが…俺は大丈夫なのか?そんな安心しきった顔で目を閉じて…。
「すみません…もう目眩おさまりました」
ゆきは、義勇の腕の中から出た。
そして暫くしてゆきが、意を決して義勇に話しだした。
「あの…先程の隠の方のお話なんですが…」
ゆきは、下を向き言いにくそうに口篭りだした。
「あいつは、お前の事を好いているようだが一緒に生活するのはやはり難しいか?」
ゆきは、目に涙を溜めながら義勇を見てきた。
「…今からお話する事を聞いて義勇さんは私を軽蔑するかもしれません。だけど…お話しますね…」
ゆき…何を言うんだ…もしかして…あの話を俺にするのか?
「私は…前に甘露寺さんのお屋敷で間違えてお酒を飲んだ日にあの隠の方と交わってしまいました…」
「ゆき…」
「無一郎くんと思ったんです。無一郎くんに見えて…最初は夢かな?と思ったんですが、体が全部覚えていて…自分がした行為も今でもはっきりと覚えています。今も体に感触が残っていて…全部…忘れられなくて…」
涙を流しながらゆきは、話している…。
その相手を、俺だとは知らず…あの隠だと思って苦しんでいる…。
「だから会うのが近くに来られるのが怖いんです…」