第46章 幻覚の正体〜冨岡義勇
ゆきが、部屋に入ると同時に義勇に聞いてきた。
「昨日は、さっきの隠の方が私を部屋に運んでくださったんですか?」
「ああそうだ。」
ゆきは、目が泳ぎ出した。様子がおかしい…。
「それから、誰も私の部屋に来ていませんか?」
ゆきは、昨日の夜の事を夢だったか確認したいのか?
俺が、相手だと知ったらますます俺を拒絶するだろうな…。夢で今会えない時透に抱かれたと思っている方が、ゆきは幸せだろう。
「昨日の夜は、俺も疲れてすぐ寝たから分からないがお前の部屋には誰も勝手には行かないはずだ。」
「そうですか…」
「どうした?」
「いえ…わかりました…」
義勇が、部屋から出た後にゆきは我慢していた涙を流した。
やっぱり…私は無一郎くんと勘違いしてあの隠の人と…
何てことをしちゃったんだろう…最低だよ…私は最低…
翌朝ーー
毎日この屋敷に来て朝ごはんのお手伝いを、していたのに急には辞めれないのでゆきは、頑張って台所へ行った。
「あっ!ゆき様おはようございます」
隠の田中さんが、笑顔でこっちに来た。
こ、怖い…
思わず手を動かした時に、鍋を引っ掛けてしまった。
「きゃっ!」
近くに居た義勇が、声を聞き台所に走ってきた。
鍋の中身が、床に散乱していた。尻もちをつき隊服が汚れてしまったゆきを、隠が抱き起こそうとした時に
ゆきが、怯えて後退りをしているのを目にした。
「俺がする!すまないがお前は、床を片付けてくれ」
義勇が、ゆっくりとゆきに近付いた…
「立てるか?」
俺には、素直に応じて手を出してきた。引っ張りあげてやった。
隠が、手ぬぐいを持ってきてゆきの体を拭いてあげようとした
「触らないで…大丈夫です!」
ゆきは、手ぬぐいを手にして自分の部屋の方へ走って行った。
どうもゆきの様子がおかしい…この隠とゆきに何かあるのか?
ゆきは、隠と関係を持ってしまったと勘違いしていた。
取り敢えず隊服を、着替えようと服を脱いで着替えた。
スカートではなく無一郎が、初めに用意してくれたズボンの隊服に身を包んだ。
気持ちを切り替えて部屋から出た時に、台所の方が騒がしいのに気付いた