第45章 色が消えた世界〜冨岡義勇【R強強】
ゆきは、素直に凛から水をもらい全部飲み干した。
すると凛が、ニヤッと笑いながら話しだした。
「無一郎くんってすごいですよね?」
「ん?何が?」
「夜…全然寝かしてくれませんよね?」
「え?」
「昨日の夜も寝れなくて…」
「そ、そうなんだ」
何、これ…私は何を聞かされているの…二人はそういう仲なの…?
そっか…聞きたくない…
「結構積極的ですよね?私びっくりしちゃって」
「…めて…」
「え?何?酔っ払ってて何話してるかわかんないですよw」
「やめて!聞きたくない!」
ゆきは、思いっきり凛の頬を叩いてしまった。
それから、取っ組み合いになり三人が駆けつけたのだった。
‐‐‐
無一郎は、ゆきを見た。
肩を震わせ泣きながら義勇に、抱きしめられていた。
そのまま会はお開きとなった…。
ゆきは、間違えてお酒も飲んでいたせいか目が虚ろでぐったりしていたので、義勇は屋敷の隠を呼んだ。
隠と義勇が、帰り道の経路の事を話している時に一人になって壁にもたれかかったゆきの側に無一郎は、皆の目を盗んで行った。
ゆきは、目を閉じ眠っていた…。
先程の取っ組み合いで凛に引っ掻かれたであろう傷が首元に付いていた。
まるで、子供が泣きつかれて眠ったようにまだ「ひくっひくっ」と肩が動いていた。
長い睫毛は、涙に濡れていた…
胸が痛くなった…。そっと手の甲で頬に触れた。柔らかいゆきの頬の感触だった。
いつもする甘い香りがゆきからしてきた…。
「ゆき…」
そんな無一郎の様子を、甘露寺は見ていた…。
義勇が、隠と話を終えた時に無一郎は、そっとゆきから離れた。
帰り道は、隠にゆきをおぶってもらい義勇は、周りを警護しながら屋敷に戻る事になった。
無一郎も、帰ろうとした時に甘露寺に呼び止められた。
「無一郎くんちょっと来て」
凛から離れた場所に呼ばれた
「どうしてこんな事になっているのか、分からないけど
私達はいつ死んじゃうのかわからないし
好きだと思う相手には、気持ちは真っ直ぐに伝えないと…
また明日その好きな人に、逢えるとは限らないんだよ。今を大切にしないと…」
でも僕は、今までありがとうって言われたんだ…
別れみたいな言葉を