第44章 消えた薬〜冨岡義勇 時透無一郎
今日は、任務が入っていた。山へ山菜採りに入った村人が何人も消えているとの事だった。鬼の仕業かもしれないので調査せよとの事だった。
この調査には、数人の隊士達の他に…無一郎も入っていた。
隠しが、ゆきに手直しできた以前着ていた隊服を持って行った。
「ゆき様お待たせ致しました。直りましたよ」
ゆきは、少し考えて隊服を受け取った。
「ありがとうございます。でもスカートの方が動きやすくて…今日はこのままで行きます。」
義勇と、ゆきと隊士達は山に向かった。
一方無一郎達も隊士達と共に山へ向かっていた。
日が暮れてきた辺りから山の中は、不気味な雰囲気に包まれていた。
「何か森に血鬼術がかけられているようだな…」
義勇が、辺りを警戒していた。
「ゆき離れずに、俺の近くにいろ」
一人の隊士が気付いた…
「ゆき様が、いません」
〜〜
ゆきは、森の奥からすすり泣くような声が聞こえてくるのを聞いて義勇から離れてそちらの方に行ってしまっていた。
うずくまって泣いている…それは女性の鬼だった。
刀を抜いてゆきは、構えた。その時鬼がこちらに気付いた。
「私はただあの人に会いたかっただけ」
鬼が何か話しだした…話を聞かず頸を斬るほうがいいのか?ゆきは、迷った
「ここに迎えに来てくれるかもしれないと待ち続けた…だが来るのは知らない人間だけ…だからみんな喰ってやった。」
「誰を待っているの!?」
「お前みたいな小娘に分かるか?愛した男だよ」
すぐに、頭に無一郎くんの顔が浮かんだ…。
あなたも、待っているのこんな森の奥深くで…。愛している人を…
ゆきが、気を取られている間に鬼はすぐゆきの目の前にまで迫っていた。
遠くから素早い足音が近づいてきた…。
「霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り」
ゆきの目の前で、無一郎が鬼の頸を斬っていた。
「鬼の話を聞くな…あいつらは人を殺して喰っているんだ命取りになるよ」
無一郎が、背を向けて私にそう言った…。
「待ってたんだって…あの鬼…愛した男の人が来てくれるのを、この森でずっと…」
ゆきが、後ろから抱きしめてきた。僕に回した手が遠慮がちだった。
「私が嫌いになったの?答えて…」