第43章 新たな波乱〜冨岡義勇 時透無一郎
「本当にごめんなさい…何か不自由な事があればすぐに呼んでください」
申し訳なさそうな表情をして部屋を出て行った。
義勇の屋敷にも、護衛のため数人の隊士達と隠が、常駐していた。
ゆきは、隠に義勇の腕を怪我させたことを伝えた。
「湿布薬を切らしておりまして蝶屋敷に取りに行ってまいりますね」
隠は夜ご飯の支度の途中だった。
「いえっ私が行きます!怪我させたのは私なので…」
「ゆきさんよろしいのですか?」
「はい!夜までに戻りますね」
ゆきは、蝶屋敷に湿布薬をもらいに屋敷を出た。
〜〜
義勇は、ゆきの姿が見えない事に日が沈んだ頃に気付いた。
「あっ水柱様」
「ゆきは、どこに居る?」
「蝶屋敷です。湿布薬を貰いに行ってくださってます」
〜〜
蝶屋敷では、しのぶが沢山の湿布薬を用意してくれた。
「冨岡さんとの生活はどうですか?」
「普通に毎日お稽古して過ごしてます…」
「そうですか…」
しのぶと話をしている時に、カナヲがやってきた。
「あ、あの師範…」
「どうしました?」
「凛さんと時透さんが、凛さんのご両親のお見舞いにみえました」
無一郎くんが、蝶屋敷に来ているの…?
ゆきの心臓がドキドキと高鳴った。
しのぶは、その様子に気づいた。
「カナヲ、ゆきさんを時透くんの所に案内してあげなさい。」
ゆきは、しのぶの顔を見た…
優しくニコッと微笑んでくれた。
「久しぶりに、会うのですよね?ごゆっくり」
カナヲに、案内されて部屋に通された。
無一郎は、まさかゆきが居るとは夢にも思っていなかった。
「あの…時透様、お客様です」
カナヲが、たどたどしく声をかけてさっと消えていった。
「僕にお客様だれ?」
ふすまの影からゆきが、飛び出してきて無一郎に抱きついた。
「無一郎くん!会いたかったよ…」
「ゆき!?なんで」
いつものこの香り…ゆきの匂いだ…。柔らかい体…柔らかい髪の毛
綺麗な瞳…桜色のかわいい唇
頬に、手を伸ばして耳や唇を指でなぞった。涙ぐんだ瞳で僕を見つめてくる…。
目を閉じて僕の口づけを、ゆきは待っていた…。
膝を立てて座っている僕にゆきは、全体重を委ねていた。
だけど僕は…