第43章 新たな波乱〜冨岡義勇 時透無一郎
「無一郎くんと二人で話してもいいですか?」
真剣な表情で、義勇に訴えた。
「何を、話すんですか?お館様の命ですよ!あなたが居たら鬼が来るかもしれないんですよ?無一郎くんを危険に晒さないで!」
凛が、ゆきにすごい剣幕で言い放った。
無一郎は、すっと立ち上がりゆきの手を掴んで自分の部屋に連れて行った。
居間に、残された義勇が凛の事を横目で見ながら口を開いた。
「凛と言ったな?」
「はい…」
「ゆきを、傷つけるような発言は二度とするな」
突然の事に、凛は驚いた…それに真剣な義勇の目が怖かった…。
〜〜
無一郎は、ゆきに背を向けたまま黙って立ったままだった。
「無一郎く…」
「話さないで…」
「え?」
「どうせ冨岡さんの所に行くって言うんでしょ?」
「…うん」
「僕の事は…嫌いなの?」
その時…無一郎の背中にゆきが抱きついた。腕をお腹に回ししっかり抱きしめた。
「好き…大好き。無一郎くんが好き」
無一郎は、胸がぎゅっとなった…。
「好きだから鬼が来て無一郎くんを危険にさらしたくない…。」
無一郎は、向きを変えゆきを抱きしめた。
「僕は、強い。鬼が来ても勝てる」
ゆきが、背中に回した手で無一郎の隊服をぎゅっと掴んだ。
「私も出て行きたくない…凛と無一郎くんが二人で此処に居るなんて嫌だよ…」
無一郎は、ゆきの顔を見た。
いっぱい涙で溢れていた。
無一郎は、涙を拭いてあげてそれから唇を重ねた。
何度も重ねた…
「昨日あんなに抱いたのに足りないや…」
そしてまたしっかりとゆきを、抱きしめた…。
「ゆき約束して…」
「約束?」
「冨岡さんと一切触れ合わない」
「…わかった」
ゆきの涙を親指で拭ってあげた
「ゆきは、僕に約束して欲しい事はある?」
「…うん。無一郎くんの気持ちのままにしてくれたらいい…」
「なに?それ…」
「無一郎くんの心は無一郎くんのものだから…」
そう言ってゆきは、無一郎に口づけをした
「好きだよ…無一郎くん」
そう言い残してゆきは、冨岡さんの屋敷に行ってしまった
僕は、心にぽっかり穴が空き冨岡さんに、ゆきを取られたような気分だった