第43章 新たな波乱〜冨岡義勇 時透無一郎
外が、ようやく明るくなってきた頃に無一郎は納得したのかゆきを、解放してくれた。
無一郎は、疲れたようですぐに隣で寝息を立てていた。
ゆきもいつの間にか眠ってしまっていた。
目覚めた時には、無一郎の姿は無かった。
着替えて部屋を出た…すると、庭の辺りが騒がしかった。
隠の人が、おろおろしていた。
「あの…何かあったんですか?」
「冨岡さんの継子のゆきさん!?ちょうどよかった」
手を引かれて、庭に連れて行かれた。
庭を、見ると義勇さんに向かって無一郎くんが木刀を構えて睨み合っていた。
「な、なにしてるんですか!?二人とも」
義勇が、ゆきに気付いた。
「時透が、手合せしたいと申すのだが…俺は朝からそんな気分でないと断っているんだ…引いてくれなくて困っている」
ゆきが、無一郎に話しかけようとしたその時に誰かが庭に駆けてきた。
「無一郎くんー来ちゃった。」
無一郎が、驚いて竹刀を落としてしまった。
声の主は、凛だった…。凛は、勢いよく無一郎に抱きついた。
隠や隊士が、その様子を見てざわついた。
「お館様が、両親の治療が治るまでここに居ていいって仰ってくださったんです」
凛の両親も、実は凛が鬼に襲われた時に傷を負っていて蝶屋敷で、治療中だった。
「それと、お館様からお手紙をお預かりしています。」
‐‐‐‐‐
手紙の内容は、こうだった。
ひとつは、凛をご両親が全快するまで預かること。
もうひとつは…
ゆきを、この屋敷から出すこと…
ゆきを狙っている鬼に、この場所は目星を付けられているので、今鬼の動きのない間にゆきを、別の屋敷に住まわすという命だった。
手紙に、書いていた
その移動先は…
水柱 冨岡義勇邸にゆきを住まわせると書かれていた。
義勇、無一郎、ゆき、凛は隊士達や隠のいない居間に移動した。
「僕は、鬼が来ても大丈夫だからこのままにしてもらうように今からお館様の所に行く」
義勇が、無一郎を止めた。
「お館様が、決めた事だ。」
無一郎は、ゆきの方を見た。ゆきは、ずっと下を向いたまま黙っていた。
「ゆき荷物の準備をしろ。一緒に帰る」
黙っていたゆきが口を開いた