第41章 狂った夜〜後編〜冨岡義勇 時透無一郎【R18強強】
急に、ゆきが体を捻って無一郎から逃れようとしてきた。
「何?どうしたの?」
「義勇さんに聞かれてたって?」
無一郎は、ゆきの頬に触れながらふすまの方を指差した。
「あそこに、ずっと影があったよ。だけど途中で居なくなった。」
ゆきの目が泳ぎ始めた。
「やっぱり冨岡さんが、気になるの?」
「そ、そんな事はないけど…」
無一郎は、悲しい表情を浮かべた。
「君はいったい誰が好きなの?」
無一郎は、またゆきにくちづけをしてゆっくり体を倒していった。
無一郎に抱かれながら考えていた…。無一郎くんが好きだよ…
好き…
だけど頭のどこかに、義勇さんの事を考えてしまっている自分がいる…。
こんなのいけないのに…いつも優しくしてくれて、困った時に助けてくれて…
そんな義勇さんが、心のどこかにいる…
「ゆき…気持ちいい?」
「う、うん…」
無一郎くんは、全然離してくれない…。あれからずっと私を求めてくる…
義勇さん部屋に居るのかな?どうしてるかな?
嫌な気持ちになってるのかな?
「…ゆき?ゆき?」
無一郎が、ずっと話しかけていた。
慌てて無一郎を見た。
「汗びっしょりだからお風呂に入っておいで、夜中だし窓を開けても誰も居ないから星が綺麗に見えるよ。僕は時々そうしてお風呂に入ってるんだ。」
「うん…ありがとうございます。」
縁側を、ゆっくり歩いてこのお屋敷のお風呂に向かった。
ここのお風呂は、温泉が引いてあった。鬼との戦いで疲れた柱や隊士達が体を休めれるようにとのお館様の配慮だった。
無一郎に、言われたように窓を開けてお風呂に浸かった。
大きい窓なので星まで綺麗に見えた…。
お風呂から部屋までの帰りの廊下を、歩いている時にどうしても気になって行ってしまった…。
義勇の部屋に…。
「あの…義勇さん?居ますか?」
「……」
返事がない…
私何してるんだろう?なんで来ちゃったんだろう…。会って何を言うつもりなんだろうか…
ふすまが、開いた…。
義勇が、目の前に立っていた。
「あ、あの…」
ゆきが、口を開いたと同時に部屋に引きずり込まれた。