第39章 加速する想い〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
確か無一郎くんは、蝶屋敷に行くって言ってた…。
日が暮れていつ鬼が現れるから分からない状態だった。
ゆきは、必死に走り蝶屋敷に向かった。
蝶屋敷では、無一郎は凛の側にいた。
「無一郎くん、全然来てくれなくて寂しかった」
凛が愛おしい目で無一郎を、ベッドで横になりながら見つめていた。
「色々あって」
どこか、素っ気なくて自分の顔すら見ない無一郎に、凛は距離を感じた。
「今日は、朝まで側に居てくれるんですか?」
凛が、無一郎の手を握って質問した。
「もう帰るよ」
「え…そんな…」
無一郎が椅子から立ち上がろうとした時に、凛が突然抱きついてきた。
体勢を崩し無一郎は、凛の上に覆い被さってしまった。
「無一郎くん…好きです」
凛が、無一郎の首に腕を回しながら言った…。
炭治郎の言葉を思い出した…
僕が、凛の事を好きだって…
凛が、僕を見てゆっくり目を閉じた。僕は…吸い込まれるように唇を重ねにいこうとした…
「待って!」
息を切らしたゆきが、入り口に立っていた。
「待って…無一郎くん…」
無一郎は、凛を見たまま止まった。唇は触れ合う寸前だった。
「こんな事…私が言える立場じゃないけど…」
ゆきは、下を向いて両手を握りしめて言った。
「今すごく嫉妬してる…離れて欲しい…口づけしないで欲しい…」
無一郎は、ゆっくりゆきの方を見た。
入り口で、震えながら下を向いているゆき…
頬には僕が、傷つけてしまった跡が見えた。隊服は、僕がボタンを引きちぎったから、淫らに乱れ胸元が見えそうだった。
無一郎は、凛の側から離れてゆきの前まで歩みを進めた…。
「もう夜なのに、一人でここまで来たの?」
「うん」
「鬼に君、命を狙われているんだよ?」
「…。」
無一郎は、何も言わないゆきの手を引いた。
「帰るよ…」
凛が慌ててベッドから出てきた。
「無一郎くん!?居てよ!」
「ごめん…また明日ね」
無一郎は、ゆきの手を引き蝶屋敷を出た…。
「ゆき走るの遅いから」
そう言い無一郎は、ゆきを抱きかかえて自身の屋敷まで走り出した。
その様子を遠くから義勇は見ていた。実は蝶屋敷まで、ゆきの安全の為付いて来ていた