第39章 加速する想い〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
「やっ!離して義勇さん!」
しっかり体に回して絡んだ腕は決して離れなかった。
きつく体を締め付け、耳元に顔を埋めてくる。嫌だ…離してほしい…。
「辞めてよ!離して…嫌だっ!無一郎くんが行っちゃう!」
ゆきは、泣き叫びながら暴れた。あまりにも暴れるので、義勇は少々手荒にはなるが、首の後ろを手刀で打ち気絶させた。
〜〜〜
「うっ…」
目を覚ますと、外はもう薄暗くなっていた。ゆきは、起き上がろうとしたが、目眩で布団の上に崩れ倒れた。
「早く…無一郎くんの所に行かなくちゃ…」
「もう遅い。泊まっていけ」
声がする方を見ると、義勇が腕を組んで座っていた。
「帰ります!」
義勇が、手を伸ばし頬の傷をなぞってきた。痛くて顔を歪めた。
「可哀想に」
そして、ぎゅっと抱きしめられた。
「やっ!離して下さい」
義勇の腕の中で、ポロポロ涙を流しながらゆきは、義勇に離してくれるように頼んだ。
「時透の所にそんなに行きたいのか?」
コクンとゆきは、頷いた。
義勇は、仕方なく抱きしめていた腕を解いてやった。
「ありがとうございます」
行こうとするゆきの腕を掴んだ。
「腕を離して欲しいなら、お前からの口づけが欲しい」
ゆきは、握られている腕を払おうとしたが、びくともしなかった。
すぐに行きたかった、無一郎の元へ…ここに、今日泊まる選択肢はゆきには、なかった…。
「するから腕を離して下さい…」
「あ、ああ…」
ゆきは、ゆっくりとぎこちなく義勇に顔を近づけていった。
唇が重なり合った。ぎこちないゆきからの口づけ…
義勇は、そのままゆきを布団に押し倒し激しく唇を奪った。
足をバタつかせ、義勇の羽織を引っ張り激しく抵抗した。
義勇は、暴れるゆきの両手を束ねて頭の上で一つにして片手で拘束した。
口づけが、激しすぎて息が出来なかった。
ぐったりしたゆきに気づき、拘束していた両手首を離してしまった。
涙をポロポロ流しながらゆきは、起き上がり部屋を出て行った。
力無く義勇は倒れ込んだ。
布団には、ゆきのあの甘い香りがしっかりと移っていた。