第34章 それぞれの想い〜冨岡義勇 時透無一郎
そして日の光で無一郎は目を覚ました。隣には幸せそうに眠る凛の姿があった。
無一郎は、ハッとして隣のゆきの部屋に向かった。
ゆきのベットには不死川さんが座っていた。そしてその胸に寄りかかるようにしてゆきは眠っていた。
「不死川さん!?何で」
「はぁ?何でじゃねぇぞゆきが可哀想だろ?ちょっと振り回しすぎてねぇか?」
「僕はそんなつもりは…ただ凛も気になって」
ゆきが不死川の胸で目を覚ました。
「んっ…あれ?」
不死川の顔を見上げて慌てて離れた。
「す、す、す、す、いません」
「おっ!血鬼術が解けたか声出たな」
「あっ…みたいですね。良かった…」
まだ部屋の入り口に無一郎が立っていることに気づいてなかった。
「ゆき」
無一郎の声だった。こちらを何とも言えない表情で見ていた。
「無一郎くん…」
「どうして不死川さんと居るの?」
「そのまま返します、どうして凛の隣で眠ったの?」
無一郎は、困った表情で言葉が出てこなかった…。
僕はいったいどうしたいんだろう?ゆきがすごく好きだし愛おしい冨岡さんにも取られたくない。年の差を気にしてたけどゆきは何とも思ってないのもわかったのに…なのに、凛が気になってしまった。
ゆきは、すごく魅力的でドキドキする。触れたいし体が熱くなる…
凛は、僕と同い年で友人のような気を使わないそんな相手…
無一郎は、ゆきを見ながらそんな事を考えていた。
「無一郎くんここに居たの?起きたら隣にいないから〜」
凛だった。
ゆきは、隣に座る不死川の隊服を知らぬうちにぎゅっと握りしめていた。
それに不死川は気付いた…。
「ゆき声が出るようになったし一度胡蝶の診察を受けよう行くぞ」
ゆきは、手を引かれ連れて行かれた。
〜〜
「良いですね!すっかり血鬼術抜けていますよ。後は体の傷を治すのみです。手合せはだめですがその他の稽古はしても良いですよ。」
しのぶから蝶屋敷を出てもよい許可ももらった。
「お前時透の屋敷に一人で今居るのか?」
「はい。そうなりますね…」
「冨岡のとこにいたほうが稽古もあるし楽なんじゃないのか?」
「……。」