第31章 お仕置き〜時透無一郎【R18強】
薬と氷を持って戻ってきた頃には無一郎は、眠っていた。
熱にうなされてる顔が本当にまだ幼い。氷で頭を冷やしてやり解熱薬を飲まそうと無一郎を起こした。
「無一郎くん?お薬飲めますか?」
「ん…無理…かな」
どうしようと困っていた時に、部屋の外から物音がした。覗きに行くと凛が泣きそうな顔で立っていた。
凛とは、無一郎の継子だった14歳の少女だ。無一郎に継子を解消されて家の寺に戻っていたはずなのに蝶屋敷に何故か居たのだった。
「り、凛!?」
「師範が、大怪我をされたと風の噂でしり居ても立ってもいられず参りました。」
凛は、ゆきを押し退けて無一郎の元へ行った。
「師範大丈夫ですか?こんな傷だらけになって…」
「ん?凛?何しに来たの?」
「私やっぱり師範の事忘れられなくて怪我したと聞いて来たんです」
「…ありがとう」
「師範?」
以前の冷たいだけの無一郎ではないので凛も驚いた。
「ゆきお姉様私に今夜は師範の看病させてください。」
「えっ?それは…いや…」
「いいよ。お願いするよ」
ゆきが嫌と答えると同時に無一郎が了解した。
ゆきは、慌てて無一郎の隣へ行った。
「無一郎くん?私が看病するから大丈夫だよ」
「凛には、酷い感じで継子解消したから…邪険にできないよ」
「じゃあ私は…どうしたらいいんですか?」
「ん?とりあえずその解熱薬を飲ませて」
ゆきが手に持っている液体の薬を赤いしんどそうな顔をしながら指差した。
口元にゆきが近付けた、無一郎はそれを払い
「口で飲ませて」
と凛に聞こえない声で言ってきた。どうしようと戸惑っていたその時、凛が薬を口に含んだ。
急な事で驚いた。
だが、その間に凛は無一郎に近づき口移しで薬を飲ませた。
驚いた無一郎が、途中凛を押し退けたので薬の液体がベッドの布団に飛び散った。
「ゆきお姉様がもたもたしてたから私が代わりに飲ませました。」
そう言い放ちいつもゆきが座っている椅子に座り無一郎の側を離れそうになかった。
無一郎は、熱のせいもありぐったりして目も虚ろだった。
「ゆきお姉様今日はいいですよ。私が付いているので」
と言われ部屋を追い出されてしまった。
廊下で立ち尽くした。