第30章 霞が消える時〜時透無一郎 冨岡義勇【R18】
「む、無一郎くんまだ治ってないのに」
膝の上に抱えられながらゆきが困っていた。
「体中痛いし頭はガンガンするけど君にこうやって触れていると楽になる。」
ゆきは、赤くなって下を向いた。
「冨岡さんのとこで稽古して来たの?」
「は、はい」
「僕が居ない間不死川さんの屋敷で良い子にしてた?」
「うん…」
「本当かなぁ?」
「冨岡さんと何もないよね?」
「ないです」
わたしは、嘘をついた…。無一郎くんが私の隊服のボタンを外してくる。
「ま、待ってください」
「何で?今すぐゆきとしたい。」
まだ義勇に付けられた跡が体中に薄っすら残っている。だからゆきは抵抗した。
「さ、さっき部屋に来る前にしのぶさんに、無一郎くんの体を布で拭いてあげるようにって頼まれてて、お湯と布持ってきますね!」
ゆきは、慌てて外された隊服のボタンを直しながら部屋から出て行った。
無一郎は、不満そうにゆきの後ろ姿を見た。
暫くしてゆきが戻ってきた。
無一郎の浴衣を開いた。たくましい体が露わになる。だが傷だらけで、打撲の後も沢山で痛々しい体だった。
毒針が刺さった跡が無数にあり痛々しかった。
熱いお湯で湿らした布を体にそっと当ててあげると、痛むのか少し顔が歪む…。いつでも無表情だった無一郎のそんな反応が新鮮だった。
「痛みますか?」
「うん…」
痛みに耐える度に私の太ももをキュッと掴んでくる。
「とても痛いから背中拭いてくれる時は正面から僕を抱っこしながら拭いてよ」
ゆきは膝で立って無一郎を正面から抱きしめる形で背中に、手を回した。
ちょうど無一郎の顔がゆきの胸の位置に来る。無一郎は胸に顔をうずめた。
そしてゆきのお腹辺りに手を回し抱きついた。
「安心する…」
黙ってゆきは背中を拭いてあげた。
「終わりましたよ」
「……。」
終わっても無一郎はゆきから離れなかった。
下から私の顔を見あげてくる。まだ幼さが残る顔…で大胆な事ばかり言ってくる。
「今したい。ゆきと今やりたいんだけど。」
「体中痛いのに無理です。」
「気持ちよくなれたら痛みなんか忘れる」
ゆきは、抱き着く無一郎を引き離した。