第25章 刀鍛冶の里〜無一郎の到着 時透無一郎 冨岡義勇【R18】
「俺は里から帰ったらお館様に、百合との婚約の話を解消してもらう。」
無一郎は、鼻で笑った。
「今更ですね。ゆきの事を思っていたのならどうしてもっと早く動かなかったんですか?そんなんじゃ元には戻らないですよ。では、、、」
遅いか…時透に言われてしまった。七つも年下の子供に言われてしまった。
子供…?いや、俺が子供と思っているあいつにゆきが取られようとしている…。
ゆきは、部屋でうとうとしていた。義勇に買ってもらった手鏡を、持ちながら。
「もう寝ちゃうの?」
耳元で声がして飛び起きた。
「び、びっくりした!いつの間に部屋に入ったんですか!?」
無一郎が正座をしてゆきの横に座っていた。
「ゆきがその手鏡持って寝転んでうとうとしてる所からずっと見てた」
「全然気づかなかったです」
「鍛錬が足りないね〜僕の継子に戻る?」
ゆきは、ハッとした…。
「えっ?私時透さんの継子だったんですか?」
「そうだよ」
「なくしてる記憶ですか?」
「うん。そうだよ」
「じゃあ何で今は、義勇さんの継子なんですか?」
「……言いたくない」
無一郎は、不機嫌になった。
君が勝手に冨岡さんの継子になったんだよ。僕に何も言わずに…。僕から一度離れた。だけど好きだと気づいて僕の元にまた戻ってきたんだ…。
「あの…気分悪くしましたか?ごめんなさい」
「ううん。大丈夫」
無一郎は、思い出したかの様に隊服のポケットからある物を取り出した。
「見て!これ」
「紙飛行機?」
「そうだよ!何か思い出した?」
ゆきは、首を傾げながら考えた。
「…ごめんなさい…何も…」
無一郎は、がっかりして下を向いてしまった。ゆきは、申し訳なく思った。すごく小さな子供みたいに肩を落とすのでついギュッと抱きしめてしまった。
無一郎が、ゆきの方に顔を上げた。
「す、すいません。つい弟みたいに可愛く感じちゃって…柱なのにほんとごめんなさい…」
無一郎の表情が変わった。
「そんなに子供に見えるの?」
「い、いえ…そんなつもりでは」
わかってるよゆき。悪気があって言ったんじゃ無いって…だけど記憶を無くした君は僕が五つ年下の男の子にしか映ってない。背も変わらないし…。