第21章 記憶の誰か~冨岡義勇 時透無一郎【R18】
客間でゆきは眠ってしまった。目が覚めると外はもう暗くなっていた。
引き戸が開き誰かが入ってきた。
長い髪、何故か気になってしまう人…無一郎だった。
「あっ、時透さん」
無一郎は、悲しい表情をした。その表情を見て何故か胸がズキンと痛んだ。
「冨岡さんはまだお館様と話してるから内緒できた。」
無一郎は、ゆっくりとゆきに近づいてきた。
「あ、あの?どうしましたか?」
急にゆきの胸に飛び込んだ。
「えっ!?」
「僕の事覚えてないの?忘れちゃったの?」
私の胸に飛び込んで来て下から私を見あげてくる。どこか懐かしいような気がする
「あ、あの」
無一郎は、尻もちを付きながら後退りして逃げるゆきになおも覆い被さっていった。
「と、時透さん?」
「僕の事思い出してよ」
ゆきはそのまま畳の上に倒れてしまった。無一郎はそのゆきの上に乗り昔してもらっていたように、ゆきの胸の上で目を閉じた。
「背中トントンして」
背中トントン…これ…昨日義勇さんにしてもらって昔私も誰かにしていたような気がしてた。
恐る恐るゆきは、無一郎の背中をトントンしてあげた。
「ゆき思い出して」
無一郎は、顔を胸からあげて畳に手をつきゆきを組み敷いた。
その時無一郎の髪がハラハラと落ちてきて頬に触れた。
以前もこの感触頬に感じたような気がする…。
ゆっくりと唇が重なる。なぜか逃げようとは思わなかった。
誰かの足音が近づいてきた。無一郎は名残惜しそうにゆきの唇を指でなぞり急いで部屋を出て行った。
ゆきは寝転んだまま放心状態になっていた。
「寝てたのか?」
「…」
「帰るぞ」
義勇は、もう片方の引き戸がきちんと閉まっていないことが気になった。
誰か来たのか?
屋敷の外には帰る柱達が居た。もちろん無一郎も
無一郎がゆきの事を見ていた。
目が合うとゆきはびくっとして義勇の羽織の裾を握ってきた。
「帰ろう」
ゆきの背中に手を添えて義勇は歩き出した。
無一郎は、その姿をじっと見ていた。
「師範私たちも帰りましょう」
凛がこちらを見ている。
なぜ僕は選ぶのを間違えたんだろう。なぜゆき以外に目移りしたんだろう