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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第105章 無一郎と美月の仲〜時透無一郎


翌朝、朝食を終えて間もなく、無一郎が甘露寺邸へと迎えにやってきた。

重い足取りで彼が待つ部屋へと向かい、ゆきは恐る恐る扉を開ける。通されたのは、ハイカラで洗練された洋室だった。

室内の中央、重厚な椅子に腰掛けていた無一郎は、ゆきの姿を認めるなり静かに立ち上がり、彼女へと歩み寄ってきた…。

「久しぶり…ゆき」

そこにいたのは、あの日冷たくゆきを見下ろした彼ではなく、いつも通りの穏やかな無一郎くんだった。

少しだけ胸を撫でおろし、私も彼の方へ踏み出そうとした…その時だった。

部屋の死角になっていた場所から、ふっと人影が現れる。

そこに立っていたのは、美月だった。

あの日、頬を刺した鋭い痛みが鮮明に蘇り、私は息を飲んで思わず後ずさりしてしまった…。

全身の血が引いていくような感覚に襲われながら、すがるように無一郎くんの顔を見つめた。

「どうしたの? 美月も一緒に君を迎えに来てくれたんだよ」

無一郎くんは何の疑いもない、まっすぐな瞳で私を見つめ返してくる。その純粋さが、今の私には酷く残酷に思えた。

「…無一郎くん、一人だと思ってたから」

小さな声でそう呟くのが精一杯だった。

美月は無一郎の背後で、冷ややかな視線をゆきに向けている。

刀鍛冶の里で投げつけられた簪の落ちる音、頬を伝った温かい血の感触が、脳裏で激しく甦る。

「ゆき帰ろう。行くよ」

無一郎は、そう言って先に部屋を出ていってしまった。

無一郎も、無一郎でゆきにどう接すればいいのか分からずに、結局は美月を頼り同行してもらっていたのだった。

仲良さそうに前を歩く、無一郎と美月の後をゆきはゆっくりとついて行った。

玄関先で、甘露寺がその三人に気付いた。

「無一郎くん。久し振りにゆきちゃんに再会したんだよ?放ったらかしは良くないよ…後ろで一人きりだよ…誰かに取られても文句は言えないよ。」

その言葉に反応して、無一郎は気まずそうにゆきを見た。

無一郎は、無言でゆきの手を引くと甘露寺に、ペコっとお辞儀をして屋敷を出ていった。

甘露寺は、その姿を見送りながら思う…

「ゆきちゃんが、心から想える人と、どうか幸せになれますように…」





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