第104章 護衛〜冨岡義勇【R強】
義勇は壁からそっと手を離したが、その碧い瞳は逃がさないと言わんばかりに真直ぐゆきを見つめていた。
「今…なぜ泣いている?」
その問いは、あまりに静かで、そして容赦なく胸の奥へと踏み込んでくる…。
「俺が新しく継子を迎えるのが…嫌なのか?」
直球すぎる言葉に、ゆきは息を呑み、言葉を詰まらせた。
自分でも、この感情の正体が分からない。ただ、義勇が新しく継子を迎えると聞いたとき…それも自分と同年の隊士だと知った瞬間、胸の奥が締め付けられるように痛んだのだ。
私…嫉妬しているの?
恐ろしい考えが頭をよぎり、ゆきは咄嗟に首を振った。
違う…そんなわけない、新しい継子を迎えて私なんかを忘れてしまう方が義勇さんにとっても良い事なのよ
逃げ出したい一心で視線を伏せようとした瞬間、再び義勇の指先がゆきの顎にそっと触れた。
強引さの消えた優しすぎるその手つきが、かえってゆきの心を揺さぶる。
「答えてくれ…答えてくれたら離してやる。」
義勇の声が低く耳元に落ちる。
「義勇さんは、ずるいです。…いつも私が何か言うまで離してくれない…」
義勇の顔が、目と鼻の先にある。先ほど唇を塞がれた記憶が甦り、頬が一気に熱くなった。
「ち、近いです…もう少し離れてください」
「答えてくれ、ゆき。俺はお前以外の者を…側に置きたくないのが本音なんだ。」
「義勇さん…」
「俺が新しく継子を迎え入れる事…嫌ではないのか?素直な気持ちを聞かせてくれないか?」
ゆきの目が泳ぐ…正直に言うか思い悩む…新しい継子の話を聞いた時に胸が痛んだ事を、話すべきか?