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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第104章 護衛〜冨岡義勇【R強】


「ゆき…が、作ったのか? あの、夕飯の鮭大根」

ぽつりと言葉を紡いだ義勇の耳は、真っ赤に染まっていた。

じっと自分を見つめてくるその不器用な視線に、ゆきは小さく息を呑む。

「は、はい…」

消え入りそうな声でようやくそれだけを返すと、義勇は少しだけ表情を和らげ、どこか愛おしそうに言葉を繋いだ。

「嬉しかった。お前が俺の継子を辞めて、屋敷を出て行ってから、一度も食べていなかったからな。隠たちが気を利かせて何度か作ってくれたが…お前の味を忘れたくなくて食べなかった、お前が作ったものが一番美味い」

その真っ直ぐな言葉は、ゆきの胸の奥を激しく揺さぶった。

嬉しさと、それ以上にこみ上げる切なさに胸が苦しくなる。

ゆきは、抱えていた西洋の恋愛小説を、まるで自分を護る盾のようにますます強く胸元へ抱きしめた。

こうやって義勇さんと向き合えば向き合うほどに…どんどん惹かれそうになっていく…

ゆきは溢れそうになる感情を必死に抑え込み、努めて冷然として冷たい笑みを浮かべた。

「お口に合って良かったです。今夜も護衛、よろしくお願いいたします。柱である義勇さんに、このような身の回りのことまで強いてしまい、本当に申し訳ありません。そのお礼で作りました。」

線を引くような余所余所しい言葉とともに、ゆきは深々と頭を下げた。

だが、義勇は拒絶されることなど恐れていないかのように、静かに首を振る。

「いいんだ…。俺は、お前の護衛を任されて、嬉しい」

その言葉にゆきが動揺した瞬間、義勇がためらうことなく部屋の中へと一歩、足を踏み入れた。

「義勇さん?」

驚いたゆきは、思わず後ろへ後退る。

「側に、行ってもいいか?」

子供のような義勇の問いかけに、ゆきは首を横に振った。

「だ、駄目です…」

「お願いだ…少しだけ、お前の近くにいさせてくれ。」

拒む声にも義勇は歩みを止めず、部屋へと完全に滑り込むと、背後で静かに襖を閉めた。

カタッ、と軽い音が響き、逃げ場のない空間が完成した。

「ゆき少しだけ…抱きしめたい…。」

「待ってください義勇さん!」

「秘密にしよう…前みたいに…だから…」

ゆきは、ゆっくりと部屋の壁際に追いやられた。


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