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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第104章 護衛〜冨岡義勇【R強】


秋の気配が混じる夜風は、火照った体にひんやりと冷たく染み渡る。

隣に並んで歩く義勇さん…継子だった頃を思い出した。

私はただ、夜の闇に紛れるようにうつむいて歩いた。

やがてたどり着いた庭の井戸。義勇さんは慣れた手つきで静かに水を汲み、木製の器を満たすと、それをそっと私に差し出してくれた。

「…ありがとう、ございます」

受け取った器から伝わる水の冷たさが、現実に引き戻す。

喉を潤そうと口をつけると、冷たい水が胸の熱さを少しだけ冷ましてくれるようだった。

そんな私を静かに見つめていた義勇さんが、ぽつりと言葉をこぼした。

「ゆき」

名前を呼ばれ、思わず肩が跳ねる。

「あの…この前の、不死川の屋敷でお前に酔って…その、水を掛けた事…すまなかった」

あまりにも不器用で、まっすぐな謝罪。その瞬間に、あの夜の光景が頭の中に鮮明に蘇る。

お酒に酔った義勇さんの普段見せない姿、そして思いがけず降りかかった冷たい水の感触。

「…気に、していません。」

私はあえて平然を装い、小さく首を振った。

それきり、二人の間に重い沈黙が流れる。

義勇さんは何かを埋めるように、ぽつり、ぽつりと別の話題を口にするものの、私のぎこちない返事のせいですぐに会話の糸は切れてしまった。

冷たい夜風が通り抜けるたび、気まずさと切なさが二人の間を通り過ぎていく。

「義勇さん…寒くなってきましたし、私、そろそろ部屋に戻りますね」

逃げるようにそう告げて、私は腰を浮かせた。

けれど、立ち上がりざまに、ふと隣に腰掛けている義勇さんを見下ろした時、胸がドキンと音を立てた。

見上げた彼の瞳には、これまでに見たこともないような、胸を締め付けられるほど切ない表情が浮かんでいたからだった。

だけど…違う…この表情…前にも見たような…

私は強い既視感を覚えた…

それは、私が彼の継子を辞めたあの日。静まり返った道場で、私を見つめる…あの時の義勇さんの表情と一緒だった…。

「お、おやすみなさい!」

ゆきは、そう言い残し慌てて部屋へ戻って行った。

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