第2章 卒業式
『あ、涼太』
「名字っち、助けてほしかったッス!」
『いや無理かな?』
恐らく卒業する同学年の女の子達が、最後にキセリョと!
と写真や握手などを求めた結果がこれだろう
涼太は少しやつれているように見える
『じゃ、帰ろっか
今日帰ったら涼太の出てる雑誌買いに行く約束してたもんね』
「そうッスよ!
名字っち、帰ろうッス!」
『はいはい』
涼太のやつれが戻ったことを確認し、並んで歩き家を目指す
『・・・涼太、背がでかい』
「え、でも189ッスよ?」
『あたしは150くらいだもん!』
「…40cm差はでかいッスね」
涼太とあたしが並ぶと顔1つ分背の高さが違うため、涼太の外見+背の差で余計に注目をあびてしまうのだ
でもさすがにシークレットシューズとか履けないため、断念している
「とりあえず、ネクタイ取られなくて良かったッス!
あの女子の群れ…まるでハイエナみたいだったッス…」
『それは女の子に失礼ですねー』
「ごごごごごめんッス!
わざとじゃないから許してほしいッス!」
『えー、どうしようかなー?』
「名字っち!」
『ジョーダンジョーダン
許してあげますよ』
ふふ。と笑いながら伝えると、涼太はなぜかそっぽを向いてあたしの手を握って、手を繋がれた
涼太は昔から照れるとそっぽ向いて、手を握るんだよね
とりあえず握り返しておこうかな
手を握り返すとこっちを向いた涼太
「せっかく出掛けるんスから、早く帰るッス」
と言って、手を繋いだまま走り出した
『はいはい。行きましょ』