第8章 恋バナと正体と
「名字ちゃんって、宮地サンのこと好きなの?」
『す、すすすすす好きぃ!?』
「だって、宮地サンと居るときすげー幸せそうな顔してんだもん」
『す、好き…?』
「…もしかして名字ちゃん恋知らない感じ?」
肯定を示してコクコクと頷くと、高尾くんは笑い吹き出した
じゃあ高尾くんは恋を知っているのかと聞きたくなったけど、そこまで深追いしたくないので呑み込んだ
「じゃあ、俺にこういうことされて嬉しい?」
パッとあたしの顔を近づけて、眼鏡を外す高尾くん
え、ちょ、眼鏡外されてマスクまで外されたらどうしたら良いのか
まるでしてほしく無いことが当たったかのように、高尾くんはスッとマスクを下ろして目を見開いた
『た、たたたたた高尾くん!』
「…え、マジで?」
『せめてマスク下さい!』
「あ、おう…真面目に?」
『…そうだけど』
その瞬間に授業開始の合図であるチャイムが鳴って、焦るが今のあたしほど焦っている人はいないだろう
とりあえず高尾くんからマスクを返してもらって付け、眼鏡をかける
「…マジで?」
『ノ、ノーコメントで』
「顔見られてノーコメントって何!?」
『…はぁ』
「話聞かせて名字ちゃん
恋の話も、その話も」
『嫌って言うのは…ないかな?』
「拒否権なしなー」
『…了解です』