第7章 高鳴り
その瞬間、ポケットから振動を感じて携帯を取り出す
確認すると春雨さんからの電話で、出るのをためらった
「…出ねぇの?」
『後からかけ直します』
「お、男か?」
『…?
いえ、女の人ですけど』
「そうか」
どこか焦った様子を見せる宮地さんを視界に入れながら、春雨さんへかけ直します。とメールを送信する
「名前」
『は、はい』
「彼氏とか居んのか?」
『…え?』
「いや、やっぱ何でもねぇ」
『えっ、と居ないですけど…』
「…そうか」
何となく宮地さんのその言葉が胸をまた高鳴らせて、どこか幸せな気持ちに包まれた
あたしと宮地さんの間には謎の沈黙が生まれたのだけれど、不思議とそれを不快には思わなかった