第4章 恋愛成就
『恋愛成就…?』
「へぇー
そんな効果あるんスか?」
あのあと最後に来たのはとある神社
どうやらこの街は古風を売りとしているらしく、神社が何よりの証拠だ
そしてその神社は恋愛成就として有名らしいのだ
『好きな人なんて…居ないんですけど』
「ま、フリだけよ?」
「なっちゃんがお嫁に行く姿なんて…見たくないッス!」
涼太のその言葉に同時に溜め息を吐くあたしと春雨さん
ちなみに涼太の顔は大真面目だ
『お嫁がダメなら…婿を取ろうかな…』
「結婚してほしくないッス!」
『その前に恋人なんてできるか不安なんだけど…』
「俺がもらってあげるッス!」
『涼太なんてあたしにはもったいないよ』
あたしの発言に不満を持ったのか、少し顔を俯かせて何かを呟いていた
小銭をお賽銭箱に入れて、恋愛ではないが高校で上手くいきますようにと願いを心の中で唱える
「実際言うと、うちの会社は恋愛禁止はしてないんだけどね」
『…そうなんですか?』
「だって、人のしたいことをさせないなんて最低じゃない」
『…春雨さん、カッコいいですね』
「そう?」
春雨さんの言葉に少し驚きを示しながら涼太の方を向く
その姿は必死に何かを願っているようで、不思議と応援したくなった
ちなみに涼太がぽつりと呟いていた言葉が、"俺が良いんス"と知るのはまた別の話し