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【鬼滅の刃】彩りの恋(R18)短編集

第3章 空色の恋(時透無一郎)



『ぇっ…水柱様っ…お話聞いていただけましたか…?
私にはそんな資格…』

「俺は十分あると判断した。
それともお前は…柱である俺の判断が間違いだと言いたいのか?」

『っ…そうでは……でも…』


胸の前で、ギュッと拳をつくる雫に

自分の姿が重なった。

選別での事が頭をよぎる。

「決まりだ。お館様にお話する。」


その数日後…

雫は正式に俺の継ぐ子となり、同じ屋敷で暮らすことになった。


















side 無一郎

今日は半年に一度の柱合会議だった。

何故かわからないけれど、帰路につく今でも体の震えが止まらない。さっきから手が震えて仕方ない。



多分…

会議の中で、耳を疑うような事があったから。

「皆に一つ、報告があるんだ。」

ニコニコとするお館様がそう仰った。

「水柱である義勇に継ぐ子ができた。義勇、説明を…」

「…はい。数週間前に継ぐ子となったのは水の呼吸の使い手、雫という少女です。かなり力量があり、任務の後声をかけました。現在俺の屋敷で稽古をし……」



何でも忘れてしまう自分が唯一忘れなかったのが雫だった。 


冨岡さんの継ぐ子?初耳だった。
 
柱たちが次々に冨岡さんに質問している。

あぁ、アイツか。以前任務で重なったが確かにセンスがあった、と宇髄さん。

私も見たことあるけど凄く可愛らしい子よね、とはしゃぐ甘露寺さん。

僕が固まっているのを、胡蝶さんが心配そうに見つめていたのがわかった。





帰り道の夕刻、震える体で歩いていると、後ろから声をかけられた。

「時透…」

冨岡さんだった。

「…何ですか?」

「雫と同期だと聞いた。柱合会議だと伝えたら時透によろしく伝えてくれと頼まれた。」

「………」

何それ?夫婦か何かなわけ?

「まぁ…死なない程度に頑張って…と、伝えてください。」

「あぁ…わかった。」

「…っ……」

この人なら本当に言いそうだと心配になり、言い直した。

「またっ…」

「……?」

「屋敷に遊びに来てほしいと…伝えてください。」

「わかった。2人で邪魔しよう。」

「冨岡さんは…忙しいでしょうから大丈夫です。同期として、雫と話がしたいだけなので…」
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