• テキストサイズ

《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第5章 呼吸




「…俺の顔に何かついているか?」

『い、いえ…!何でもないです!
お茶頂きます…!!』

「…?」




うぅ…、なんか恥ずかしい…。



男の人の顔に見惚れるなんて初めてだから
猛烈に恥ずかしくなって、咄嗟にお茶を飲んで誤魔化したけど…



怪訝な表情をしている冨岡さんの視線が痛い。


…こういう時は、話をすり替えるに限る。






『冨岡さんは…、雪は嫌いですか?』

「いや…、嫌いではないが好きでもない。」

『じゃあ、晴れている時は?』

「そもそも、天候に興味が湧かない。
快晴でも、雨が降っていても、風が強くても…
特に何とも思わない。」


『そうなんですか…。
私は、天候によって気持ちが左右されるから
冨岡さんとは正反対ですね。』


「左右される…、具体的にどのように?」


『ん〜…
晴れの時は、自然と気持ちが明るくなって
雨の時は湿気が多いから
少しどんよりした気持ちになります。

風が強い時は、風の音が耳に入ってきて
清々しい気分になりますし
夜に綺麗な月を見た時は
不思議と穏やかな気持ちになります。』



「そうか…。では雪を見た時…
今のお前は、どのような気持ちを抱えている?」


『そうですね…。
雪を見ていると、心が暖かくなるんです…。』


「暖かい…?雪は冷たいだろう。」


『そうなんですけど…、
私が生まれた地域は、冬になると
よく雪が降って、沢山積もっていたんです。
幼い頃に、父とよく雪で遊んでいたから…
その時の楽しかった思い出が
私の心を暖かくしてくれているのかもしれないです。』




あの頃はまだ、お父さんも生きていて
冬になるといつも一緒に雪で遊んでいた。


…でも、お父さんは
私が6歳の時、雪崩に遭って帰らぬ人となった。


遺体も見つからないまま時が過ぎて…


お母さんは、お父さんがいなくなった事に耐えられなくなって…


冬の雪を見る事にも、お母さんは苦痛だったようで
冬でもあまり雪が降らない地域へ引っ越したんだ。




/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp