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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第5章 呼吸




「型を見せるのは構わないが、少し休憩だ。
…流石に俺も、数時間手合わせし続けて疲れた。」


『えっ…、そ、そんなに時間経ってました…?』


「お前が夢中になっていたから
途中で休憩を挟むのは気が引けた。」


『…す、すみません、』




…嫌味を言われてるよね、これ。





でも、言われてみれば
私の体も疲労を感じているようで
座った状態から起き上がる気にもなれない。


ずっと木刀を振っていたから
腕も少し痙攣していて、ぷるぷる震えてる…



そんな私を見たから、冨岡さんは気遣ってくれて
休憩時間をくれたのかもしれない。





「茶を淹れてくる、
先程貰ったカステラも用意しよう。」

『あ…、お茶なら私が…』

「お前は休んでろ。」

『いや、でも…っ、……。』




…歩くの速くないですか?




冨岡さんは私の言葉など聞かず
スタスタと1人で道場を出て行ってしまった。





『ふぅ……、お言葉に甘えて休ませて貰おう…』




背中を下にして、道場の床に寝転がった私は
何度か深呼吸を繰り返して体を落ち着かせた。



…でも、柱の冨岡さんに
お茶なんて淹れさせていいのかなぁ。





この時代の上下関係は
私がいた令和時代よりもハッキリしてる…



冨岡さんもしのぶちゃんも
部下の人達から"様"付けで呼ばれてるし

歳上とか歳下とか関係なく
階級が上の人には、みんな大体敬語を使って話してる。




私なんか、しのぶちゃんって呼んでるし
忙しい柱の冨岡さんに稽古してもらってるっていうのに…。




『今日はこの前のお詫びに来ただけだったのになぁ…。
……ん?』





寝転がったままボソッと独り言を呟くと
壁側にある窓が視界に入って…


その窓の外側には、白くて小さな結晶が散り始めていた。





慌てて飛び起きた私は
すぐに道場から外の通路に出た。





『わぁ〜っ、やっぱり雪だ〜!!』




…雪を見るのは、本当に久しぶりだった。




私が令和時代に住んでいた地域は
冬に雪は降るけど、すぐに止んでたから
積もることなんて、殆どなかった。





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