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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第5章 呼吸





もうちゃんと謝罪はしたし
すごく恥ずかしい気持ちにさせられたし…



精神がおかしくなる前に帰ろう、と思った私は
手に持っていた手土産を差し出した。




『これ…、良かったら召し上がって下さい…。
美味しいカステラです…。』


「そうか…、わざわざすまない。有り難く頂く。」


『いえ…。じゃあ私はこれで…』


「…帰るのか?」


『え…?あ、はい…。もうお話は済みましたので…』





てっきりそのまま見送られると思ったのに
冨岡さんは私の顔を少しの間ジーッと見つめると
屋敷の方へ向かって歩き出した。




「ついて来い。俺もお前に、少し話がある。」

『話、ですか?
それならこのまま外で聞きますけど…』


「今日は外が一段と冷える。
またお前に体調を崩されたら、俺が胡蝶に叱られる。
…ついて来い。」


『あ、はい…。』




とても断れるような雰囲気じゃなくて
私は大人しく、冨岡さんの後ろをついて行き
屋敷の中へお邪魔することになった。



通路をしばらく歩くと、ある一室に通されて
その部屋は何も物が置かれていない、殺風景の和室だった。



先に畳へ正座をした冨岡さんの正面に
少し距離を取って、私も同じように正座をすると
冨岡さんはすぐに口を開いた。






「…すまなかった。」

『え…?な、何がですか?
もしかして、さっきの体重の話ですか?』

「違う…。」



さっきの話のくだりじゃないなら
一体何に謝ってるの…?


思い当たることが何も浮かばなくて戸惑っていると
冨岡さんは少し目を伏せて話し始めた。





「俺は…、お前が別の時代からやってきて
この時代に慣れようと、苦労しながらも頑張っている…
…そう気付いていたが、俺が鬼殺隊へ勧誘したことで
お前に負担をかけ、心に重圧をかけてしまった。
…、お前が倒れた原因は俺にあると思っている…

本当に…申し訳なかった。」


『っ!?』




苦しそうに謝罪をした冨岡さんは
足に手を置いた状態で、深々と頭を私に下げて来た。







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