第4章 決断
side 冨岡
鬼の情報収集をする為、街に出ていた俺は
特に何も収穫を得られず、自分の屋敷に帰る所だった。
今回のように
鬼の情報を得られない事は良くあることだが…
無駄な時間を費やしてしまった為
この虚しさを鍛錬で紛らわそう…と考えながら
自身の屋敷に向かって道を歩く。
帰り道は、途中で蝶屋敷の前を通る…
その屋敷を見ると、なぜかの顔が浮かび、俺は屋敷の前で無意識に足を止めた。
を鬼殺隊に勧誘してから
すでに2週間経っているが、まだあいつが
入隊したという知らせはない。
やはり、まだ迷っているのだろう…。
鬼殺隊の隊士になれば
命を堕とす可能性も格段に上がる…
別の時代からやってきたが
相応の覚悟を決める事に時間がかかるのは無理もない。
剣の腕だけで言えば
あいつは鬼殺隊の即戦力となるだろう…
だが、一般市民だったを
鬼殺隊に勧誘したことは、本当に正しかったのだろうか…。
門の外で屋敷を見上げながら
自分のした行いが正しかったのかを考えていると
屋敷の庭辺りから、女の叫ぶ声が聞こえてきた。
「誰か!!誰か来て下さい!!
美緒さんが…!!」
「!?」
の身に、何かあったのだろうか…
悲鳴を聞き、気が気でなくなった俺は
蝶屋敷の塀を飛び越えて、声が聞こえた庭の方へと向かった。
「!!」
視界に入ってきたのは
地面に横たわり、ぐったりとした様子ので…
俺は慌てた駆け寄り、の体を抱き上げた。
…軽い。
俺が山でを助け、
背中におぶった時よりも軽い。
顔色が悪く
浅い呼吸を苦しそうに繰り返しているを見ると、ひどく胸が痛んだ。
「己の体調管理もできないとは…、この未熟者。」
『と、みおか…さ……』
震える唇で俺の名を呼ぶに
なぜ俺はもっと優しい言葉を投げかけてやれないのだろうか…。
なぜ人に優しくしてやる事が出来ないのだろうか…。