第4章 決断
「冨岡さんと会ってからですよね?
さんが今まで以上に頑張るようになったのは…
あの人に何か言われたんですか?」
『…うん、ちょっとね。』
冨岡さんから鬼殺隊に勧誘された話は
しのぶちゃんには話していない。
本当は、入隊するかどうか相談したいけど
しのぶちゃんも忙しいし、私自身の問題だから…。
…それに、冨岡さんから
自分自身で決めろって言われてるし、
最後に会った日から、もうすぐ2週間が経とうとしてる…。
いつまでも誰かに甘えているようじゃ
私は成長できないんだ。
『それより、お昼ご飯の時間なんだよね!
手洗ってから行くから、しのぶちゃんは先に行ってて〜!』
座っていた縁側から立ち上がった私は
しのぶちゃんの返事を聞く前に
1人でその場を去った。
しのぶちゃんは本当に私の事をよく見てくれているから、もし深く突っ込まれた時は、誤魔化せる気がしない。
何か悟られる前に
もっと知識を増やして、鍛錬もして…
胸を張って鬼殺隊の一員になれるように
もっともっと頑張らないと。
意気込んで洗面所に向かっている私を
しのぶちゃんが寂しそうに見つめていたことに
私は気付くことが出来なかった。
『今日のご飯は何かな〜?…、っ、あれ……』
洗面所で手を洗い終わり、みんなが待っている部屋に向かおうとした瞬間、足元が少しふらついて、咄嗟に壁に手をついた。
『何だろう今の……、気のせいかな…』
視界が一瞬だけ歪み、壁に手をついたまま
瞬きを何度か繰り返すと、いつもの調子に戻った。
ついさっきまで
3時間も呼吸の訓練してたから、きっとそのせいでふらついたのかも。
ずっと神経を研ぎ澄ませていたし
その影響かもしれない…。
『…少し休めば大丈夫だよね。』
壁から手を離すと、視界は歪むこと無く
足だってちゃんと立つことができる…。
やっぱり気のせいだった、と自己解決した私は
洗面所を出て、昼食を摂りに向かった。
…残念ながら、この時の私の目眩とふらつきは
気のせいではなかったんだと……
それに気付いたのは、2日後だった。