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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第3章 積極



side 冨岡




…俺は今、蝶屋敷に向かっている。



理由は、傷薬の軟膏が切れてしまい

「用意ができた」と胡蝶から連絡が入り
それを受け取る為、任務帰りに寄ることにした。



屋敷に近づくに連れて、頭の中に思い浮かぶのは
あの女のこと…。


俺が助けたあの日から、すでに2ヶ月程経っているし
怪我の傷は癒えているだろう。



胡蝶からあの女のことに関して、何も聞いていないが
屋敷に滞在したままなのは、風の噂で聞き、知っている。



俺が屋敷を訪れた時、あの女と顔を合わせてしまったら、どのように接すれば良いのだろうか…


そもそも、俺のことを覚えていない可能性もある…



だが、口下手な俺は
きっと自分から話しかけることはできない。



もし顔を合わせたら、手短に挨拶だけをして
蝶屋敷をすぐに去ろう…



そう決心したところで
目的地の蝶屋敷へ到着し、門をくぐった途端
竹刀がぶつかり合う音が聞こえた。



胡蝶が弟子と稽古でもしているのだろうか…



何度も響き渡る竹刀の音を聞きながら
屋敷の玄関をくぐり、薬を取りに来た、と
蝶屋敷に住み込みをしている隊士に伝えた。





「しのぶ様は現在、縁側にいらっしゃいます。
お呼びしましょうか?」

「いや、稽古の邪魔をするわけにはいかない。
こちらから直接出向く。」




邪魔をする、と一声掛け
俺は屋敷の中へ足を踏み入れた。



縁側に近づくにつれて、大きくなる竹刀の音…。



何度も強く響き続ける音に
胡蝶が厳しい指導をしているのだと想像ができ
相手の隊士を少し不憫に思ったが…



縁側に辿り着くと、胡蝶はそこに座ったまま
裏庭を眺めていた。




「あら、冨岡さん。どうしたんですか?」

「…頼んでいた軟膏を取りに来た。」

「あぁ、そうでしたか…
もう少し待ってて下さいね?
今、弟子達の稽古を見学しているところなので。」




弟子、達…?



胡蝶の弟子かつ継子は、1人だけだったはず…



不思議に思いつつ
裏庭を眺めている胡蝶の視線を辿ると…





「…!!」





そこには、昔から蝶屋敷に住んでいる胡蝶の継子の姿…




相手をしているもう1人は、
竹刀を鮮やかに振り、楽しそうに稽古をしている
奇妙な眼鏡をかけた、黒髪のあの女だった…。




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