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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第3章 積極




「じゃあ早速、呼んでみて下さい?」

『えっと……じゃあ……
呼び捨ては抵抗あるから……




しのぶちゃん、って…呼んでもいいかな…?』


「ふふっ、まぁいいでしょう。
手の揉み療治をしてくれた事に免じて許可します。」


『うぅ…、名前で呼べるのは嬉しいけど
なんか少し悔しい…』




そう呟いているさんは
恥ずかしがっているのか、頬が少し赤くて…


私よりも年上ですが、とても可愛らしい表情でした。




「では、そろそろお茶の時間にしましょう。
街に出たので、お土産に和菓子を買ってきたんです。」


『!!本当!?やったぁ!!』




パッと明るくなったさんは
すぐに立ち上がり、私の手を引っ張って
部屋の外へ向かった。


彼女は甘いものが大好物なので
私の隣で鼻歌を奏でながら通路を歩いている。




『しのぶちゃんって、本当に優しいよね!
大好き!』

「ふふっ、ありがとうございます。」




…私なんかより
さんの方が何倍も優しい人ですよ。



心の中でそう呟いていると
通路の角を曲がった先に、私の弟子であるカナヲが私達の元に向かってきた。





『あっ、カナヲちゃん!……ん?』




スタスタと、歩みを進めてきたカナヲは
私に会釈をすると、さんの服の袖をキュッと掴んでいた。




『……あ、そういえば今日は
稽古するって約束してたね!!』




さんの言葉に、二、三度頷いて返事をしたカナヲ。



カナヲは、あまり人には心を開かず
私や姉さん以外の誰かに懐くなんて一度もなかったけど…

さんの人柄に惹かれたようで
カナヲは彼女のことをとても慕っている。





「カナヲ、さんは今
一仕事を終えたばかりなので、稽古は後で…」

『ううん、約束してたから今から稽古に付き合う!
しのぶちゃんは、先にみんなとお茶してて〜!』



さんはそのまま
カナヲと手を繋いで裏庭の方へと向かって行き
残された私は、そんな2人を見て笑みが溢れた。





「もう…、本当に優しい心を持った人ですね。」




しみじみとそう感じた私は
お茶を後回しにして、2人の後を追い、縁側に座って
稽古中の2人を見学することにしました。


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