第22章 恐怖
意識を強く保っていても
やっぱり体には上手く力が入らないままで
鬼は私の元へ着々と近づいて来る…。
このままだと、私も他の女性達と同じ様に拘束されるか、若しくはすぐに殺されるか…
毒のせいで回らない頭で
何とか体を動かす方法を考えていると
鬼は私の目の前に来てしまっていた…。
「いいなァ?その目…。
強気な女ほど刺激を与えたら
さぞ変わり映えして楽しいんだよなァ?」
刺激…?
っ、そうだ…、その手があった…。
鬼の言葉で閃いた私は
隊服の後ろポケットに手を突っ込み、ある物を取り出した。
「あン…?そんな物で対抗する気かよォ…
頭まで毒が回ってんのかァ〜?」
『はぁ、はぁっ…』
躊躇うな…、早く……やるんだ……!!
『ーーーッ…!!』
「あ…?お前…、何で動いて……っ!!」
鬼が驚いている間に
私はスッと立ち上がって、首を目掛けて刀を振るったけど、残念ながら掠っただけで、切り落とすことはできなかった。
…でも、刀で技を出せるほどの力が体に戻り
上手く行った事にとりあえずは安心した。
「はぁ…、なるほどなぁ…。
取り出したその医療道具で、自分の脚を切ったのかァ…、
痛みで欲を紛らわせる…、お前ェ、頭いいなァ?」
『刺激っていう言葉のヒントをくれたのは
あなたなんだけど?』
そう…、鬼の言う通り、私が隊服から出したのは手術用のメス。
そのメスで自分の太腿を刺し
痛みによる刺激を与えたら、毒の効力が少しだけ薄れ、立ち上がることが出来たんだ。
令和の時代では外科の勤務だったし
この大正時代に来てからも
蝶屋敷で医療関係のことを学び続けてきたから
刺した、といっても神経は上手く避け
出血も最小限に留めてる。
…でも、動ける様になったからといって
いつまた動けなくなるかも分からない。
早く鬼の首を斬らないと、私に勝ち目はない…。